少子高齢化が進んだことでどんな問題が起きているのか。キャリアコンサルタントの上田晶美さんは「最大の問題は労働力不足だ。日本の職場における伝統的な組織ピラミッドが崩壊し、若者の下剋上が起きている」という――。(第2回)

※本稿は、上田晶美『若者が去っていく職場』(草思社)の一部を再編集したものです。

怒り叫ぶビジネスマン
写真=iStock.com/NicolasMcComber
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日本の職場で起きている「下剋上」

職場で圧倒的に優位な地位を占めるようになったと思われる若者たち。この年功序列の日本社会にあって、下剋上ともいえる若者の優位性はいまだかつてない現象のように思われます。

それもそのはず、これは日本にとって、有史以来のできごとなのです! 本稿では、強気な若者社員がいかに出現したのか、その背景を探っていきます。

かなりさかのぼりますが、日本列島に形成された大和民族は氷河期などを経て、縄文時代1万年の中で火をあやつり、狩猟をし、土器を作り、農耕を始め、そのために村を作って集団生活をして着々と繁栄、人口を増やしてきました。やがて物々交換は貨幣経済へと発展し、古代文明は飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町と引き継がれ、江戸時代という大繁栄時代を経て、近代文明へと発展します。食料確保にも成功し、着々と人口を増やして、明治、大正、昭和、平成、令和と進んできました。

そして、ついに2005(平成17)年に初めての人口減少を記録します。「歴史的に見た日本の人口と家族」(第三特別調査室縄田康光)には次のように書かれています。

平成17年国勢調査によると、17年10月1日現在の我が国の人口は1億2776万人であり、16年10月1日時点での推計人口1億2778万人を約2万人下回った。平時における人口減少は統計開始以来初めてであり、少子高齢化の趨勢が今後当分続くことを考えると、我が国の人口は歴史的な減少局面に入ったと言える。