死ぬ前に後悔しないお金の使い方は何か。精神科医の和田秀樹さんは「万一、死期が迫ったときにお金が残ったという場合は、寄付することを考えている。もちろん、趣味で集めたワインもゼロにして死にたい。もしもがんになって余命がわかったら、医者からは『酒なんか飲むな』と口うるさく言われるかもしれないけど、私は毎日飲むつもりだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

シニアカップルがワインを飲む
写真=iStock.com/Sergei Gnatiuk
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高いお金を払って老人ホームより、車や介護ロボットにお金を

アメリカの実業家、ビル・パーキンスの著書『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)が2020年に発売されて、日本でもロングセラーになっています。この本に著者は、「人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする意欲が高まる」と書いていますが、その通りです。

私は高血圧や糖尿病などの持病があって薬や運動でコントロールしていますが、あと20年前後で要介護になるだろうと想定しています。

その頃になれば、車の自動運転技術や介護ロボットの性能がもっと上がるはずですから、私は高いお金を払って老人ホームに入るより、車や介護ロボットにお金をかけて自由に暮らしたいと思っています。

実はこの前、私の母親が94歳で急性胃腸炎になって入院したら、母の生活がすっかり変わってしまいました。

退院後、もともと住んでいたサービス付き高齢者住宅から介護付き有料老人ホームに移ったのですが、そこではおかゆときざみ食しか出されなくなってしまったのです。

病院の医者からの申し送りなのかもしれませんが、本人は「あんなもの食べたくない」と泣いて電話をしてきたので、施設に出向いて「ごはんを食べて喉に詰まらせたとしても、ホームを責めたりしませんから、好きなものを食べさせてやってほしい。食べたいものを食べたり、食べる幸せを感じたりするほうが大事ですから」と伝えました。