年を重ねて幸せに生きるには何を心がけるべきか。精神科医の和田秀樹さんは「高齢者が我慢ばかりの生活をしていると、前頭葉が刺激されない。ますます機能が衰えて、体も脳も見た目もすべてが加速度的に老化してしまう」という――。
※本稿は、和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
子どもへの教育に「我慢」を教える理由
「我慢」というのは、いまを楽しむのではなく、「いまは我慢して、あとにいいことを取っておくこと」なんですね。
1960年代にスタンフォード大学で心理学者ウォルター・ミシェル博士が行った「マシュマロ・テスト」という有名な心理実験があります。
4歳の子どもの前にマシュマロを一つ置く。「いま食べてもいいけれど、15分待つことができたら、マシュマロを2個あげるよ」と言って立ち去り、我慢できるかどうかを見る。
すぐに食べた子と我慢できた子とでは、その後アメリカの大学進学適性試験で、我慢できた子のほうが総合スコアで平均210ポイントぐらい高かったという。
さらに10年後、20年後の追跡調査でも、社会的な成功の度合いが違ったという結果もあって、子どもは我慢できるように育てたほうがいいという話になったのです。
このように日本人に限らず、私たちは幼い頃から、我慢することを教育やしつけによって教えられてきたので、多くの人たちは「いま我慢すればあとでいいことがある」と信じているわけです。

