──2011年、アップルの創業者であり、世界的な富豪でもあるスティーブ・ジョブズが50代という若さでこの世を去りました。健康面ではどんなことに気をつけていますか。

毎日、エアロバイクをこいで運動しています。食事を適切にとり、睡眠もしっかりとっています。きちんと寝たあとのほうが正しい決断を下すことができるのですよ。夜考えても思いつかなかった答えが、朝起きて、バイクをこいでいるときに出ていることがあります。

1年に1度、健康診断も受けていますが、これは30年間、ずっと続けていますね。

──若いうちに大金持ちになられましたが、40代や50代になっても、新たにお金持ちに近づける素養を身につけることは可能でしょうか?

もちろん遅くはありません。いつからだって成功はできるでしょう。ただ、そのためには「変わらなければならない」と思います。

お金持ちになるために最も大切な資質は情熱です。それがあれば、いくつであろうと必ず突破口は見つかります。まずは、あなた自身が情熱を傾けられる仕事を見つけてください。私は投資が好きだったので、この世界で成功を収めましたが、だからといって娘たちに同じ道に進んでほしいとは思いません。まずは自分が何が好きかを見極めることです。

もちろん、あまり成果が上がらない状態が続くこともあるでしょう。でも、情熱を失わずにやり続ければ、いつかは、多くの利益を得ることができると思います。若いころ、私より頭のいい人はたくさんいましたが、多くの人が努力せず、途中で物事を投げ出してしまった。だから彼らは成功しなかったのです。

利益というのは、何もお金だけではありません。自分が真に楽しめることに打ち込むのだから、たとえ金持ちになれなくても、幸せになれる。これは、結局、お金には代えられない喜びなのです。

──お金に「愛される人」と「愛されない人」の違いは結局どんなところだと思われますか。

それは正直よくわかりません。でも、成功している人は、お金のことをさほど気にせずに物事を始めたのではないでしょうか。情熱を持って取り組み始めて、結果的に、お金がついてきたのだと思います。

これは、私の仕事についての信念でもあります。誰でも求職するときに面接を受けますが、私ならそのとき「サラリーがいくらか」といったことをまったく気にしない。大切なのは、好きな仕事を見つけることであって、あなたにふさわしい仕事を手に入れたなら、自然にお金は入ってくると思います。

ジム・ロジャーズ
1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学卒、オッスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立、驚異的なリターンを上げる。37歳で引退、世界を旅する。現在、シンガポール在住。『中国の時代』『娘に贈る12の言葉』など著書も多数。
(撮影=アーウィン)
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