この結果、1万人を超えたあたりからフォロワー数がフォロー数を逆転。各種のランキングにも載るようになり、フォロワーが「数が数を呼ぶようにして増えていった」という。

経験からわかったことがある。フォロワーの数は、影響力に直結しないという事実だ。米国企業が開発した「Klout(クラウト)スコア」という指標がある。ソーシャルメディアにおける影響力を100段階で示すもので、これを通販各社で比較すると、フォロワー約10万人の楽天が「59」で3位、33万人のスタートトゥデイと並び、3万人のニッセンが「60」で1位となる。15万人の良品計画は4位、16万人のユニクロは10位。なお7万人の脇田さんは「21」に留まる。(※雑誌掲載当時)

「人を巻き込むテクニックを磨くつもりで利用しました。商品への反応をみたり、人脈を広げたりといったことには役立ちません。いまでも続けているのは『肌感覚』を磨いておきたいから。パソコンの操作と同じように、SNSは社会インフラになっていくと思います。知らないのは、もったいないですよね」

IBMの指針は「匿名活動を禁止」

永井孝尚さん

IBMに勤務する永井孝尚さんはブログの達人だ。これまで自身のブログ記事を基に5冊の著書を上梓していて、近刊『100円のコーラを1000円で売る方法』は12万部のベストセラーになっている。

ネットとのつき合いは長い。1993年に職務との兼ね合いからパソコン通信を始め、95年には趣味の写真を紹介するホームページを立ち上げた。ブログは06年、ツイッターは09年から。最初から一貫して実名での情報発信を続けてきた。社内でもよく知られていたようだ。

「ネットをやっていたから、仕事が間に合わないというのは通じません。名前を出している以上、そこはすごく意識をしていました。ブログは帰宅してから執筆して、朝に投稿するようにしています」