メールは埋もれるがFBなら反応がある

境 真良さん

経済産業省の境真良さんはツイッターの利用について「自分をどう立たせるかは意識している」と話す。

専門はコンテンツ産業。通商産業省を振り出しに、東京国際映画祭の事務局長や早稲田大学大学院の客員教授を務めるなど、職場を移りながらキャリアを重ねてきた。2冊の著書があり、官職ではなく、境さんを指名した仕事も少なくないという。

「個人と組織との関係は意識しています。がっつりと仕事には絡めていませんが、周囲には『これが境の仕事のスタイルなんだ』と理解してもらえている。集中して1人で考えるよりも、対話の中でアイデアがまとまる性分なので、助かっています」

ソーシャルメディアでは個人が前に出るため、公私を切り分けるのが難しい。境さんは、勤務時間中にはツイートを自粛することで、ケジメをつけている。始業や終業、昼休みの前後には「フォームチェンジ」とつぶやくのが通例だ。一方で、その面白さは、やり取りが活発なところにある。メールや電話と異なり、不特定の人たちに見られることで、思わぬ反応がリアルタイムに返ってくる。知り合い同士のやり取りを、公開の場で行うのは、一見すると奇異に思えるが、いずれも、最初は思わぬ反応から始まる。

「ある程度は読者を想定しつつ、不特定の読者と共有するところが面白い。面識がない相手でも、相互にフォローしていれば、リアルで会ったときに話がスムーズ。人脈といえばあざといですが、つながりはできる」

境さんのアイコン画像は漫画家のゆうきまさみさんの作品を転載したものだ。これもツイッターを介したつながりの一例といえる。

12年2月時点のフォロワーは約9500人。注目度は決して小さくない。ツイートをするうえでは「特定の誰かを非難しないようにしている」と話す。

「非難と批判は違います。批判は対象の主体が入れ替わっても成り立ちますが、非難は対象そのものに向くもの。非難は感情の軋轢を生み、トラブルを招きかねません。息をするようにつぶやいていますが、緊張もしている。そのバランスが心地いい」