【伊賀】私もそう願っております。最後に、この『ワーク・シフト』についてもうひとつ、お伺いしたいことがあります。本書を読んだ感想は、40代以上と30代以下では違うのかなと思いました。若い世代にとっては、明るい未来を提示してくれる内容であり、一方、年配世代にとっては、これから働き方をシフトさせるなんて不可能だ、と思ってしまうのではないかと。それぞれにメッセージをいただきたいのですが。
【グラットン】40代以上の方々へのメッセージとしては、学び続けよ、ということです。学習は20代前半で終わるのではなく、死ぬまで続くと見るべきです。私の友人の1人に、ウォレン・ベニスという南カリフォルニア大学の経営学の教授がいます。彼は87歳ですが、いまだに授業を受け持ち、ブログも日々、書いています。重要なのは仕事に対して好奇心を持ち続け、それによって常にわくわくすることです。
日本のビジネスマンよ、もっと休暇を!
【伊賀】若い人たちにはどうでしょう。
【グラットン】子供ではなく大人であれ、と言いたいですね。企業との関係も、大人と大人の関係であるべきで、いつも言われた通りにすればいいわけではありません。自分は何に興味があるのか、何にわくわくするのか、人生で成し遂げたいことは何か、そのためにはどのくらいのお金が必要なのか、すべて自分で考え、決めなければなりません。
最後に、どちらの世代にも伝えたいメッセージが1つあります。日本の皆さん、われわれヨーロッパ人のように、もっと休暇を取って、ゆったりと人生を過ごしましょう。人の一生はますます長くなる。「シフト」に大切なこともきっと見つかるはずです。
(※本対談は、2013年2月6日に六本木のアカデミーヒルズで行われたリンダ・グラットン教授来日記念セミナーをもとに収録。)