脱サラニーズ:直営で軌道に乗せてからオーナーを募集
収穫に関しては、作業服チェーンのワークマンの戦略もユニークだ。同社はまず直営店をつくって軌道に乗せた段階で、その店を任せるのに相応しいFCオーナーを募集する。せっかく実がなるところまで育てたのに、収穫をFCオーナーに委ねるのはなぜか。藤根氏はワークマンの狙いをこう解説する。
「ワークマンの営業時間は朝7時から夜8時まで。直営店でやると社員の残業代がかさみ、大きな利益は出ないのです。それより家族経営ができる地元の人にオーナーになってもらったほうが、粗利益に連動するロイヤルティで着実に利益が出る。ちなみに加盟料は400万円。出店コストはワークマン持ちで、脱サラ希望の人が比較的手に届きやすい額に設定しているところが、同社のうまいところです」(藤根氏)
同社はこの戦略で出店を増やし、12年3月期は経常利益46%増で、過去最高益を更新した。同社の戦略と、脱サラニーズが一致した結果ともいえるだろう。
目先の利益を追うだけでは、優れたビジネスモデルもすぐ行き詰まる。サンリオやワークマンのように、長期的な視野で利益を出す発想も大事にしたいところだ。
(坂本道浩=撮影 PANA=写真)