キレイ願望:機能重視で参入容易なスキンケア商品

シニア層にも、従来にはあまり見られなかったニーズが生まれている。年齢を重ねても美しくありたいという“キレイ願望”だ。前出の藤井氏は、シニア層には2つのキレイ願望があるという。

【ロート製薬】肌研(ハダラボ)シリーズ。ヒアルロン酸など肌にいいと言われる成分入りの商品を手ごろな価格で提供し人気に。

1つ目のキレイ願望は、40~50代女性の美魔女ブームだ。美魔女は年齢を感じさせないアラフォー以上の女性を指す言葉で、いまやコンテストが開催されるほどの社会現象になっている。

「ブームをうまく取り込んだのがロート製薬です。同社は12年3月で連結経常利益が過去最高益になるなど好調ですが、牽引役はかつて主力だった目薬ではなく、スキンケア商品。なかでも50代女性をターゲットにした『50の恵』はヒットを記録。中高年女性のキレイ市場は手堅いのでは」(藤井氏)

スキンケアなどの基礎化粧品は、メーキャップ系化粧品のようなにブランド力もあまり必要ない。今後もさまざまな会社に参入のチャンスがある。

●家の中のタブーを堂々とビジネスに

「2つ目は、汚物などの処理です。これまでは高齢者の、いわゆるシモのお世話はタブー視されているところがあって、家庭でお嫁さんが鼻をつまみながら世話をするか、公的な介護サービスを利用するかのどちらかしかありませんでした。そこを堂々とビジネスにしたのがユニ・チャームです。大人用の紙おむつを開発して、営業体制を強化。新しい市場をつくりました」

ユニ・チャームは、人口増加中の中国やタイ、インドネシアにいち早く幼児用紙おむつを展開。少子化が進む国内市場を尻目に、アジアの成長を取り込んで収益を伸ばしてきた企業という印象が強かった。

しかし、それは成功要因の1つにすぎない。頭打ちと見られていた国内市場では、幼児用から大人用へのシフトに成功。13年3月期には、大人用の国内売上高がはじめて幼児用を上回る見通しだ。