父子鷹商法:今日も子供と楽しむガンプラづくり
1980年の発売以来、世代を超えた支持を集める機動戦士ガンダムのモビルスーツプラモデル、通称「ガンプラ」は12年3月末までに累計4億1400万台を出荷。現在も年間約1000万台が順調に売れている。
その消費を担っているのが、団塊ジュニア世代の父親と男の子。80年頃は父親がおおむね小学生で、いま、その子供たちが学校に上がっているわけだ。そして、この2世代でガンプラ売上高の6割を占める。「おそらく彼らには、組み立てて遊ぶという模型特有の文化がある。親子で完成するまでの工程を楽しんでいるのだろう」とバンダイホビー事業部マーケティングチームの柿谷太一朗リーダーは話す。
意外なのは、1つのプラモデルを2人がかりで組み上げるのではなく、父親は2000円前後の最新モデルを作り、その横で子供が入門的なプラモデルに挑戦している点だ。親と子の両方にガンダムシリーズの映画やアニメによって培われた、それぞれの“ガンダムストーリー”があるのだろう。
バンダイホビー事業部でも、そうしたトレンドは12分に心得ており、ガンダムの劇場版公開に合わせたイベントやコアファン向けのプロモーションに余念がない。柿谷氏は「つい最近は『つくろうガンプラ!』をキャッチフレーズに、プラモデル着色用の豪華マーカーが当たるキャンペーンを打った。500人の当選に8万通もの応募があった」と嬉しそうに語る。
こうした“父子鷹商法”をきっちり行っていくことで次世代のファン育成にもつながっていく。団塊ジュニアの孫世代を見据えたロングセラーのマーケティングということができそうだ。