裏切らない友:ペットなしでは生きていけないシニア
街を歩くと、シニアが犬と散歩をしている姿をよく見かける。
大手ペットショップ、コジマの小島章義会長は、「生体(ペット)販売頭数から推測すると、ペットの数は確実に増加している」と見る。同社の生体販売頭数のうち8割以上が犬。顧客年齢別では50代が約14%、60代以上が約9%を占める。この構成比の変動は少なく、シニアの飼い主も、ペットに比例して増えていると考えられる。
ユニ・チャームの稲葉洋恵・ペットケアカンパニーフード事業部長兼制作部長も、「50代、60代はペット飼育率が高い。子育てが終わって時間やお金があるので、子供や孫の代わりに世話をするのだろう。団塊世代は人口が多いため、ペットの数も増えているのではないか」と分析する。
シニアに人気があるのは小型犬。かわいいうえに室内で飼え、散歩などでも手間がかからない。「ペットフードの量も少なくてすむが、シニアはペットの健康にも気を使うのでプレミアム商品をよく買う傾向にある」(稲葉氏)。
コジマは生体販売、ペット用品販売に加え、小型犬向けにニーズの高いトリミング(毛のカット)、ペット医療などの付帯サービスにも力を入れている。
「ゆりかごから墓場までの付き合いで、飼い主とペットを固定客にする」(小島会長)作戦だ。こうしたサービスについても、シニアは来店頻度が高く、客層として有望だという。
「ペットはリタイア後の心のオアシスになる。子供夫婦などと一緒に世話ができるなら、ぜひ飼うべきだ」と、小島会長はいう。シニアの「裏切らない友」として、今後の市場の伸びも期待できそうである。