買い物難民:今やコンビニはシニアのライフライン
コンビニエンスストアが、「シニアの身近なライフライン」として、新たな役割を果たすようになっている。最大手のセブン-イレブン・ジャパンによると、来店客の年齢別構成比で、60歳以上は05年に11%だったのが、11年には18%にまで上昇。「市場構造の変化に伴って、シニアにも対応した品揃え、サービスを強化してきた。それが支持された結果」と同社の石橋誠一郎・執行役員商品本部FF・デイリー部長は分析する。
シニア対応の品揃えでは惣菜が柱。高品質PB「セブンプレミアム」をはじめ、2500アイテム以上を揃えるが、とりわけ、サトイモの煮物、サバの味噌煮、押し寿司といった和惣菜は、60歳以上の購入率が断然高い。「シニアは単身世帯が多い。惣菜は少量から買え、手間がいらない。日持ちのする和惣菜なら、毎日買い物に来なくてもすむ」(石橋氏)からだ。
一方、コンビニから弁当や惣菜を宅配するサービス「セブンミール」も拡充、全国約1万店で実施している。都市部でも小売店が減っていて、「買い物難民」となるシニアが増えているためである。今年5月から500円以上購入で手数料無料にしたところ、利用実数は3倍になった。無店舗エリアでは、移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」にも乗り出している。
「大規模マンション、大型医療施設など出店候補地はまだ多い。シニアの増加で、近くて便利なコンビニの必要性はかえって高まっている」(石橋氏)と、同社の鼻息は依然荒い。