ポーランドの軍事分析家はソーシャルメディアのXで、「自国のシステムを基に開発された装備を攻撃するという皮肉な結果となった」と指摘。誤爆の理由については、クルスクのロシア軍ドローン部隊に対し、「この珍しい北朝鮮のシステムの配備について事前の通知がなかったのではないか」との見解を明らかにした。
It seems that what was originally claimed to be a "Western-made Radar System", is very likely to be a North Korean Tor SAM version on a cab chasis.
— WarVehicleTracker(@WarVehicle) January 12, 2025
However its funny on one side that Russia would have hit their own SAM, maybe left in the dark about the arrival of them. https://t.co/5r0skT9C1r pic.twitter.com/hyWwBMYwQR
ロシア軍との意思疎通がままならず、足の引っ張り合いを演じている実態を鮮明に物語る一件だ。
「最後の1発は自決用に」北朝鮮兵士に徹底された教育
北朝鮮兵はまた、コミュニケーション以外でも独特な側面を持っている。捕虜となることは国家への裏切りであると洗脳され、万一の場合には自爆するよう指示されているようだ。
英インディペンデント紙によると、ウクライナ特殊作戦部隊はクルスク地域での戦闘後、戦死した北朝鮮兵士たちの遺体を調査した。この最中に、生存者を1人発見。しかし、救助しようとウクライナ軍が近づいた瞬間、その兵士は手榴弾を起爆させ、自ら命を絶ったという。
衝撃的な行為だが、兵士個人の判断ではなく、北朝鮮当局の指示によるものであることが判明している。ロイター通信の報道によれば、韓国の与党「国民の力」所属で国会情報委員会委員を務めるイ・ソングォン議員は、戦死した北朝鮮兵士の遺品から発見されたメモの分析結果を共有。メモに記された内容から、敵軍に身柄を確保されそうになった場合、自爆や自殺をするよう北朝鮮当局に指示されていることが裏付けられたという。捕虜になることを避け、敵軍の交渉材料とされないための指示とみられる。
さらに、2022年に亡命した元兵士であり、北朝鮮軍の内部事情に詳しいキム氏は、同記事のなかで、次のように証言している。「軍内では捕虜になることが最大の裏切り行為とされています。そのため、『最後の1発は必ず自決用に残しておけ』という教育が徹底されているのです」
ソーセージだけは手放さなかった
自決命令の理由について、韓国のシンクタンクであるアサン政策研究院の防衛アナリスト、ヤン・ウク氏は、次のような見解を示す。兵士たちの自決は、単に金正恩体制への忠誠を示すためだけではない。捕虜として生き残れば、本国に残された家族への過酷な処罰が待っている。そのため、多くの兵士が家族を守るための最後の選択として、自決を迫られているという。
こうした事例から浮かび上がるのは、個人の意志を剥奪され、まるで金正恩政権に忠誠を誓う機械のように仕立てられた北朝鮮兵の姿だ。もっとも、厳しい立場に置かれた北朝鮮兵たちは、ときに人間味ある一面を見せることもあるようだ。英テレグラフ紙がその一例を報じている。