スズキの「小」「少」「軽」「短」「美」が示す可能性
このウェイモのすぐ隣に、日本のスズキがブースを展開していた。注目を集めるウェイモの真横では見劣りしてしまうかと思いきや、きわめて独自性の強い展示になっており、抜群の存在感を見せた。
スズキはCES2025のテーマに「Impact of the small」を掲げていた。CES2025向けサイトでは、このテーマの下に「小さなものづくりが、大きく社会を変える」というメッセージが加えられている。
会場で目を引いたのは、ブース内に掲示された「小」「少」「軽」「短」「美」の5つの漢字だ。意味するところは、コンパクトでシンプルかつ軽量・軽やかな製品を短期間で生み出し、その4要素の調和により美が生まれるということである。
さらに驚いたのは、「自動運転台車」を展示していたことだ。これは豪Applied EVと共同開発したもので、スズキの四輪駆動車「ジムニー」のラダーフレームをベースとしている。安全性とシンプルさを重視して設計されており、物流現場の効率化や人手不足に対応するソリューションとして、新たなモビリティの可能性を示した。
最新テクノロジーの世界で、日本企業は出遅れがちだといわれている。AIでも、また自動運転でも、プラットフォームづくりにおいては、先行するアメリカの巨大テック企業に太刀打ちできないだろう。
では日本企業の活路はどこにあるのか。今回のスズキの展示にこそ、そのヒントがあると感じている。スズキが示した「小」「少」「軽」「短」「美」、あるいは既存製品・サービスの繊細でかゆいところに手が届く改良といった、「日本の得意技」にさらに磨きをかけることで、今後のテクノロジーの世界でも日本が存在感を示し続けられるのではないだろうか。
(構成=斉藤俊明)