「クルーズ・クラッシュ」が浮き彫りにした課題

前述の「2025年の世界」5大ポイントのうち3、4点目はとりわけモビリティと縁が深い話だ。CES2025でもモビリティの3大トレンドとして「電動化」「コネクティビティ」「自動運転」が取り上げられた。

自動運転に関しては「Autonomous Vehicles : The Future is Finally Here(自動運転の未来がついにここに来た)」と題するセッションが行われていた。まさに“ここに来た”と表現している通り、アメリカでは自動運転サービスが現実にスタートしている。

自動運転といえば、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のクルーズ(Cruise)が開発した自動運転車両が路上に倒れていた女性をひいてしまい、世界的なニュースとなった。そのため、日本でも自動運転は難しいと考えている人は多いかもしれない。実際、この事故は一部で「クルーズ・クラッシュ」と呼ばれ、ゼネラル・モーターズはロボタクシー事業から撤退した。

その一方でグーグルの持株会社アルファベット(Alphabet)の傘下にあるウェイモ(Waymo)は、アメリカのサンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックスの3都市で無人自動運転のロボタクシーの商用運行を成功させ、その後も運行都市を拡大。2025年は地域をさらに増やす計画とのことだ。

グーグル持株会社傘下「ウェイモ」の自動運転車
筆者撮影
グーグル持株会社傘下「ウェイモ」の自動運転車

自動運転はいつ日本で実現するのか

日本でも、2025年からGo、日本交通とともに東京で自動運転実証を予定している。上記のセッションでもウェイモの話題が中心となっており、巨大な地球儀上に示された展開地域には日本もしっかり記されていた。2025年中の商用展開は難しいとしても、2026年には実現するのではないか。

巨大な地球儀にはウェイモの日本展開が明記されていた
筆者撮影
巨大な地球儀にはウェイモの日本展開が明記されていた

ウェイモのミッションは「Be the world’s most trusted driver」、すなわち世界で最も信頼されるドライバーになるということで、信頼性・安全性の実現に注力してきた。CES2025の基調講演に登場した共同CEOのテケドラ・マワカナ氏は、安全性の確保を最優先事項にあげていた。同社の展開地域を増やしている理由は、まさにその姿勢が評価されているからである。自動運転の仕組みにおいてもカメラ(映像)だけでなくLiDAR(光線)、レーダー(電波)と多様なセンサーを組み合わせ、信頼性と安全性を高めている。

こうした「安全性第一」の姿勢は、テクノロジーの成熟度、資金力、そして信頼構築における、ウェイモとクルーズの違いを如実に物語っている。