世界最大の家電見本市は「AI」一色だった

今年、世界経済の牽引役としてのAI=人工知能は、さらに重要性を増すことになるだろう。AIの利用範囲は、情報関連にとどまらず家電製品や自動車、さらには宅配にまで及ぶ。AIなくして、現代社会は機能を果たせない状況になりつつある。1月に米ラスベガスで開催された、世界最大の家電見本市である“CES”、は、それを確認するイベントになった。

2025年1月6日、テクノロジー見本市“CES”で講演するトヨタ自動車の豊田章男社長。
写真=DPA/共同通信イメージズ
2025年1月6日、テクノロジー見本市“CES”で講演するトヨタ自動車の豊田章男社長。

そのAIを支えているのが、先端の高性能半導体だ。高性能半導体がなければ、AIを十分に稼働させることができない。特に、AIの学習に欠かせない画像処理半導体(GPU)は最重要な要素といえる。そのGPUの世界最大手である米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、GPUがAIの成長と新たなソフトウェアの創造を可能にし、世界の成長を主導するとの考えを示した。

ラピダスが「米国半導体設計大手と連携」と報道

エヌビディアは、米テスラや中国の比亜迪(BYD)と協業して車載用半導体の開発を強化してきた。エヌビディアの車載用半導体技術は、自動車のソフトウェア化の流れを加速させる主な要因になっている。販売台数世界トップのトヨタにとっても、エヌビディアのソフトウェア開発力は競争力向上に欠かせない要素になりつつある。

GPUなど先端半導体の製造分野でも変化が起きつつある。わが国の半導体メーカーにも注目が注がれている。先端チップの受託製造事業の開始に取り組む“ラピダス”は、半導体設計大手の米ブロードコムと連携すると報じられた。それは同社にとどまらず、わが国産業界全体にとって大きい。

AIチップの性能向上により、世界経済全体でハードよりソフトの重要性が高まる。ラピダスが国内外の有力企業と連携し、自動車などの機能変容を支えるチップを供給できるか、今後のわが国の経済全体に重大な影響をもたらすことになるはずだ。