上気道炎になったときに適した食事
では、感染症になってしまったら、どんな食事をするといいでしょうか。免疫系が機能を発揮できるようバランスよく食べて栄養状態を整えるのが一番です。ただし、症状によっては食事自体が困難なこともあります。そこで、症状に合わせた上手な栄養補給法を解説します。
【咳が出る場合】ハチミツには咳の症状を緩和させる効果があり、特に副作用もないため、軽い症状であれば試してみるのもいいと思います。ただし、「乳児ボツリヌス症」になるリスクがある1歳未満の子どもには絶対に与えないようにしてください。
【咽頭痛のある場合】刺激の強いものや固形物を飲み込むと喉が痛い場合は、水分が多く柔らかいものがおすすめです。野菜や魚は煮物にし、ほぐすなどして一口量を少なくすると食べやすいでしょう。刺激物やアルコールは炎症を悪化させる原因にもなりますので避けてください。痛みが強い場合は、栄養補給できる市販のゼリー飲料もおすすめです。
【鼻閉(鼻詰まり)がある場合】私たちが食べ物を食べる際は、口を閉じて鼻で呼吸し、飲み込む間は呼吸を停止しなければなりません。ところが、鼻閉があると咀嚼中に鼻呼吸をスムーズに行えないため、硬いものやすぐに飲み込めないものを食べるのが難しくなります。ですから、喉ごしがよく、咀嚼回数が少なくて済む、うどんやそうめんなどの麺類、お粥などがいいでしょう。
おなかの風邪のときに適した食事
一方、おなかの風邪(感染性胃腸炎)の場合は、どんな食事が適しているでしょうか。まずは、消化にいいものです。また、嘔吐や下痢が起こると、脱水になる危険があるので、水分もしっかり摂取してください。
【消化管の不調がある場合】消化を考えると食事形態はご飯よりもお粥、肉よりも魚、魚では焼き魚よりも煮魚、野菜は生野菜より野菜スープがおすすめです。消化器系の症状のある風邪の場合には、生ものや冷たい飲み物は量を控えるようにします。
【脱水の心配がある場合】少量なら食べられるような場合には、お粥に梅干しなど水分と塩分がとれるものを用意しましょう。固形物が難しい場合にはスポーツドリンクを薄めたものを、下痢などで水分吸収が難しい場合には「OS-1」などの経口補水液を利用しましょう。小さな子が経口補水液の味を好まず拒否する場合には、リンゴ果汁を薄めたものでも大丈夫です。
固形物を受け付けないケースでは、少し落ち着くまでは水分摂取やゼラチンゼリーのようなものにとどめ、胃腸を休めてもいいでしょう。ただ、昔は下痢や嘔吐があるときには食事の摂取を控えたほうがいいといわれていましたが、現在では早めに食事を再開したほうが回復が早いことがわかっています。食べられるものを少量ずつ食べましょう。
〈参考文献〉
Cochrane Database of Systematic reviews. Vitamin C for preventing and treating the common cold (Published:31 January 2013)
Cochrane Database of Systematic reviews Reviews. Garlic for the common cold (Published:11 November 2014)
Cochrane Database of Systematic reviews. Probiotics for preventing acute upper respiratory tract infections (Published:25 August 2022)
Cochrane Database of Systematic reviews. Honey for acute cough in children (Published:23 December 2014)