※本稿は、レーナ・スコーグホルム著、御舩由美子訳『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
悪いニュースは最悪のタイミングで入ってくる
相手にとって悪いことを伝えるのは、決して気分のいいものではない。伝えられる側はもちろん、伝える側だって気が重くなる。
悪い話は、さまざまな手段で伝えられる。嫌なことを知らされた相手は精神的なダメージを受けるが、それを「どう伝えるか」によって相手のダメージが和らぎ、いくらか対処もしやすくなる。
私の知人は、電話であわただしくガンを告知された。別の知人は、よりによって休暇に入る前日の金曜日に解雇を通告された。
残念ながら、悪いことを伝える側が、何の配慮もなく伝える例があとを絶たない。理不尽な話だが、ストレスフルな世の中で生きていれば当然かもしれない。
だが、言葉は、それを「どう伝えるか」で、相手の受け取り方も違ってくる。伝えにくい話なら、なおさら伝え方に気を配らなければいけない。
相手にとって嫌な話を伝えるときは、何の意識もせず伝えてはいけない。きちんと戦略を立てる必要がある。ところが、たいていは、その戦略が欠けているため、よい伝え方ができない。
たとえば、伝えるのを先延ばしにしたり、できるだけ早く済ませたくて相手に質問する隙を与えなかったり、というように。悪い話を伝えるときにいちばん大切なことは、「自分が今、何をしているか」を意識することだ。
また、それが伝えにくい話であるほど、入念な準備が必要になる。相手にどう働きかければいいか、あらかじめ考えておかなければいけない。
相手のネガティブな感情を避けてはいけない
何より心がけるべき点は、相手が精神的にダメージを受けたときのネガティブな感情を恐れないことだ。悪い話を伝えるときに問題が生じるのは、この恐れのせいであることが多い。
相手にとって嫌な話を伝えるのは誰だって気まずい。だから、できるだけ早く済ませたいし、少ない言葉で手短に伝えたくなる。でも、この罠に落ちてはだめだ。しっかり準備しないといけない。話を伝える相手にも、その状況にも、真摯に向き合おう。
相手のネガティブな感情を避けようとせず、それに堂々と向き合うことが大切だ。つまり、相手の話を傾聴し、思いやりを示し、その状況を理解していることを言葉で表現しよう。そうすれば、あなたが寄り添っていることが伝わる。
悪いことを伝えなくてはならないとき、たいていの人は、その相手に会うまでの数日間を不安な気持ちで過ごす。でも、これは当然だ。誰だって、ネガティブな感情に直面するのは避けたい。悪い話を伝えたら、相手の内面には、きっと強い感情が湧きあがるだろう。よくあるのは怒り、恐れ、悲しみ、恥だ。
そして、話を伝えるほうも、受け取るほうも、その影響を受ける。