危ないから面白い:用具などにこだわるコアの登山愛好家

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好日山荘の年代別の売上高構成比(※好日山荘10年12月~11年11月のデータ)

中高年登山者の増加が注目されるようになって久しい。それにしても、なぜシニアが山にひきつけられたのか? 危ないから面白いのか?

「登山は特別な運動能力を必要とせず、誰でも参加できる。体力がさほどなくても続けやすいので、健康志向の高いシニアにも受け入れられた。それに、頂上を目指すだけでなく、風景や季節の花、鳥を眺めたり、それらを写真で撮影したりと、自分なりのさまざまな楽しみを見つけることができる。そんなところも人気の出た理由だと思う」

こう説明するのは、登山用品店大手チェーン、好日山荘の八木澤美好・取締役東京支社長だ。実はブーム時の中高年登山者のうち、初心者は3割程度で、残りは登山を続けていたか、若いときに登山をしていた経験者なのだ。

ただし、最近の中高年登山者には変化が見られる。「これまでは、ブームに乗って百名山を踏破すればいいという人も一部にいた。しかし、今では本格的に登山に取り組むコアの愛好者が残った感じだ」と八木澤氏はいう。

こうしたコアの愛好者は、登山のスキルや知識のレベルアップにも熱心。好日山荘では「登山学校」という無料の机上講習会を開いている。60~65歳の受講者が目立って増えている。また、登山用品についても、いいものを長く使う傾向がある。さらに、トレンドにも敏感で、若者と同じように、有名アウトドアブランドの最新ファッションに身を包んでいるのも特徴だ。同社の60歳以上の売り上げ構成比(2011年度)は25.7%になり、客単価もほかの年代に比べて高めとなっている。