※本稿は、菊池健『漫画ビジネス』(CROSSMEDIA PUBLISHING)の一部を再編集したものです。
コンテンツ産業は、鉄鋼や半導体に迫る規模
ここ10数年の漫画業界を取り巻く環境は、DXが進む中で大きく変わっていきました。
しかし、この変化はまだ終着点にはきておらず、さらなる大きな変化のうちの1つのマイルストーンに過ぎないように感じます。そのあたりの契機に触れつつ、最後の章を締めくくりたいと思います。
現在日本のエンタメ市場は国内市況が好況で、今後の海外へのIP輸出と言う観点でも成長性が大きく期待されています。
2022年ベースで、日本の輸出額をまとめると、コンテンツ産業は、日本の主要産業である鉄鋼や半導体に迫る規模になったとのこと。ちなみに、この上に数十兆円で自動車産業があり、コンテンツ産業はだいたい第2グループみたいな感じです。
こうした成長期待分野には必然的に投資マネーが集まります。特に、コンテンツ産業はこれから海外にも展開できるポテンシャルが高く評価され、今後の大きな成長が期待されています。
米国投資ファンドがコミック運営会社を2756億円で買収
こうした最中、ソニーやブラックストーンなど3つの陣営が、めちゃコミック運営会社のインフォコム買収の検討というニュースが出て、結果的に2024年6月に米国のPEファンドであるブラックストーンが買収と報じられました。
その額、インフォコム親会社の帝人が持つ株や市場の株などを含め、2756億円を支払うという巨大なものです。
これは日本におけるこれまでのM&Aの中でもかなり上位の買収額です。漫画のビジネスがそれだけ評価されるということです。
ブラックストーンの運用資産は2023年末時点で1.1兆ドル(約173兆円)ということで、もちろんそれが全部めちゃコミックに投じられるわけではありませんが、これまでの業界では想像しにくい規模感のマネーが、事業の更なる投資に入ってきそうです。