「何もしない」でも法的責任が生じることも。「さっさと退職」も手
朝日新聞にいたころ、あちこちの大学で調査報道について講演し、そのあと学生たちに質問を投げかけて出席者全員から回答をもらう、という機会が何度かありました。
――就職した先の職場で重大な不正を見聞きした。同僚や上司に「やめるべき」と言っても、「余計なことを言うな」と相手にされなかった。あなたなら、このあと、どう行動するか。
これが質問の内容です。
黙って見過ごすか、それとも、何らかの行動を起こすか。会社の窓口に内部通報して自浄作用が働くように促すべきか、監督官庁や報道機関に内部告発して外圧で是正させるべきか。迷う人が多いだろうと最初予想しました。ところが、実際には、迷いのない人が多かった。「そんな会社はさっさと辞める」という人です。
「自分を犠牲にするリスクをとってまで行動を起こす必要はない」「不正がある会社に勤めても精神衛生上よくない」という考え方で、とても合理的だと納得させられました。と同時に、若い人ならではの発想だな、とも感じました。
今の40~50歳代はそこまでドライに割り切れないかもしれません。リスクを冒しても、不正をやめさせるために行動するのが本当の愛社精神だ、と考える人もいるでしょう。では、どうすればいいのか。
いまだに前世紀の発想のまま、昭和の感覚のまま、という組織が現に存在するようで、そういう古い体質の会社や官庁では、内部告発した人を往々にして「不届き者」とみなして弾圧し、報復の対象とし、左遷します。その人を黙らせる、その人の信用を貶めて告発を無効にする、あるいは、新たな告発を呼び起こすことがないようにと「見せしめ」にする。
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