「情報交換」を口実にコミュニケーションを図る人は多い。元日本マイクロソフト役員の澤円氏は「目的のない“情報交換”は、あなたの時間を無駄にする。さらに、ビジネスでなによりも重要な“信頼”を失うリスクすらある」という――。

※本稿は、澤円『うまく話さなくていい ビジネス会話のトリセツ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「なんのため」にコミュニケーションを取るのか

コミュニケーション自体を目的にして、よく知りもしない人たちと会って会話していても、「ほとんどが時間の無駄になる」とお伝えしたいと思います。

「人脈を広げたい」「もっとコミュ力を高めたい」といった、コミュニケーション自体を目的にする人はよく見受けられます。

ですが、「なんのため」に目の前の相手と話しているのかよくわからない状態でコミュニケーションをとっていても、ただ疲れるだけで、自分の益になることはほぼありません。

この点について僕は、「手段を目的化するとたかられる」といつもお伝えしています。どういうことでしょうか?

例えば、不特定多数とコミュニケーションすること自体を目的にした場合、そうした場を提供する人から、時間やお金を搾取される可能性があります。もちろん、その場を提供する人から多くを学べたり、参加者が同じ目的を共有したりしているならば問題ありません。

しかし、コミュニケーション自体を目的にして、原価がワンドリンク程度のイベントに数千円から数万円を払って参加するとなると、これは完全に搾取されていると見ることができます。

ビジネス人材の立食
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「飲みニケーション」がうまくいかない理由

「そんな怪しいイベントやセミナーには参加しないよ!」という人でも、目的のない、会社の「飲みニケーション」への参加については身に覚えがありませんか?

飲みニケーションは、会社のメンバーがお互いを理解し、ひとつにまとまるための大切な機会だとする意見も根強くあります。でも、冷静に考えると、そこに相関関係はまったくありません。

飲みニケーションをすれば、お互いを理解できて一丸となれるのであれば、苦労が多いチームマネジメントや1on1ミーティングなどさっさとやめて、毎日飲んでいればいいではないですか。そんな組織はありませんよね。

飲みニケーションを推進する人は、ただ思いつきで声をかけているだけなのが実態でしょう。それでも、「あの人が出席するから行かざるを得ない」「幹事に申し訳ないから行くしかない」と、断りづらい空気から参加する人が後を絶たないのです。

まさに、コミュニケーションのためのコミュニケーション。結果的に、参加者の温度感がばらばらの飲み会になり、音頭を取った人だけが盛り上がる場になってしまうというわけです。

それはやはり、時間やお金を搾取されていると言えるのではないでしょうか。

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