いわれのないクレームを付けられた時にはどうすればよいのか。ANAの元CAで研修講師の三上ナナエさんは「『やっていませんよ‼』と強い口調で言い返しても『やった・やらない』の押し問答が続き、結局納得はしてもらえない。正しさを主張するのでなく、お客様の気持ちをわかってさしあげることが必要」という――。

※本稿は、三上ナナエ著『あらゆるタイプのお客様に選ばれる 一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)の一部を再編集したものです。

怒鳴ってくるお客様には聴く姿勢を

性格によって変わる対応法

接客業をしていると、いろんなタイプのお客様がいらっしゃることに気づきます。

タイプによって、大事にされているポイントはそれぞれ違います。クレームの場面でも、タイプに合わせて大事にしている部分を踏まえた応対が求められます。

以下に、お客様のタイプに応じた対応のヒントをあげてみたいと思います。

1 激怒するタイプ

エネルギー量が大きく、大声で怒鳴って怒りをダイレクトに表現するタイプの方です。

正義感が強く、人情家である場合も多いです。

こういった方が怒っている時に、口を挟むことはご法度です。

まずは、真摯にしっかりと話を聴く姿勢を表現しましょう。売り言葉に買い言葉で喧嘩腰になったり、怯えた姿を見せたりすると、逆に相手は自分が責められているように感じます。真摯に真っ直ぐに向き合いながら、「おっしゃっていただいてありがとうございます」とご指摘への感謝の気持ちを伝えていきましょう。

内側にマグマをたたえた激怒する男性のシルエット
写真=iStock.com/golubovy
※写真はイメージです

「~ということですね」と話を整理する

2 思い込みの激しいタイプ

自分が「こうだ」と強く思い込んで、感情的に表現するタイプの方です。

時に話が矛盾して、二転三転することもよくあります。そのため、途中で少し交通整理をしながら聴いていくことが大切です。説明の途中で「〜ということですね」と話を整理して、一歩ずつ話をかためていきましょう。

こちらが説明しても、「でもね」と話をひっくり返され堂々巡りになる場合、つい「先ほども申しましたが……」と言ってしまいそうになります。

しかしそのフレーズを言うと、「私が話を聴いていないと言いたいのですか?」と受け取られてしまうので、そこはグッとこらえ、余計な発言はしないこと。

表現を少しずつ変えるといった工夫をしながら、根気よく繰り返し説明していきましょう。