サービスとは奉仕である

お客様の応対で大切なことの一つに、「お客様の気持ちを察すること」があります。

三上ナナエ『あらゆるタイプのお客様に選ばれる 一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)
三上ナナエ『あらゆるタイプのお客様に選ばれる 一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)

お客様がなぜ今そういう言動や態度をとるのか、気持ちをわかってさしあげる。

サービスという言葉の意味には、形あるものや経済的に価値あるもののやりとりという意味の他に「奉仕する」という意味があります。奉仕とは相手を大事にする気持ちが元になって、言葉にあらわしたり、行動するということです。

お客様の気持ちを理解しようとするプロセス、そしてそれがお客様にも伝わることが、その場の満足度を大きく左右するのかもしれません。

その際に、大切なことは何でしょうか?

先述の知人の例でみると、「植木鉢を壊した」と言われたことに対して、壊していない知人が「私は壊していない」と言い返す。

内容に関して言えば正しいわけです。壊していないものは壊していない。

しかし、ここでは主張の正しさを証明することが大切なのでしょうか?

まさにこういう場面でこそ、内容の正しさよりも相手の心情をおもんぱかること、お気持ちを察して、わかってさしあげること。そして、そこからコミュニケーションをしていくことが大切なのです。

例えば、「大事な植木鉢だったんですね」とお伝えしてもよかったかもしれません。

しわの寄った手と赤いハートの形を持つ若い手
写真=iStock.com/uchar
※写真はイメージです

正しいか正しくないかではない

人は、ずっと一つの感情にはとどまりません。

怒りの感情も次第に変容していきます。

「自分のことをわかってくれている」または「わかろうとしてくれている」という態度や言動に触れることで、怒りは静まり、逆に今まで以上に信頼されたり、より心を開いてくれるものなんですね。

正しいか正しくないかではなく、お客様の気持ちをわかってさしあげること。

この視点、感覚を大切にもってほしいなと思います。

<POINT>どんなクレームにも必ず理由がある
【関連記事】
【第1回】こうすれば「眉間にシワ」がよらなくなる…ANAの元CAが教える縦のシワを消すために意識したい"顔のパーツ"
焼肉店の倒産が止まらない…チェーン店との競争が激化しても"元気な個人店"が提供している「安さ以外」の価値
「急ぎでお願いします」よりも好印象…仕事を頼むのがうまい人が"曖昧ワード"の代わりに使っている言葉
港区のイタ飯店で1万円札に火をつけて葉巻を吸う客…店内にいた画家が「貴様出てけ」の後に言った痛快な言葉
「お世話になっています」よりずっと効果的…「センスのいい人」が書いているメールの挨拶文