お金に困ることなく、老後の生活を送るにはどうしたらいいのか。『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』(アスコム)を書いた社労士みなみさんは「『ねんきん定期便』には載っていない、申請しないともらえない年金がある。もらえるものは全部もらい、年金を最大化させることが重要だ」という――。
年金手帳
写真=iStock.com/tamaya
※写真はイメージです

要件を満たせば誰でも年40万円もらえる

通常の年金にプラスしておよそ年40万ももらえる年金があるのをご存じですか?

それは、「加給年金」です。要件を満たせば誰でももらえます。ただし、この年金は申請しないともらえません。そして、みなさんのお手元に届く「ねんきん定期便」には、これらの年金について、何も書かれていません。

「え、本当に?」と驚くかもしれませんが、事実です。もらえる権利のあるものを、忘れずにきちんともらう。これは私が提唱する「年金最大化生活」の重要なポイントです。要件は次の通りです。

● 受給者本人(年金をもらう人)

厚生年金、あるいは共済年金(※)の加入期間が原則として240月(20年)以上で、以下の要件を満たす配偶者や子どもがいること。

(※) 共済年金とは、国家公務員や地方公務員などが加入する公的年金の一種ですが、2015年に厚生年金に統合されました。

● 家族

年金をもらう人が65歳になった時点で生計を維持する65歳未満の配偶者、高校3年生までの子ども、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子どもがいること。そして、配偶者または子どもの収入が、年収850万円未満(所得に換算すると、655万5000円未満)であること。

加給年金は「年金版の家族手当」と言える

少しわかりにくいですね。ざっくりと説明するなら、年齢の異なる配偶者がいる人、または、成人していない子がいる場合で、配偶者と子の年収が850万円以下であれば受給できることになります。

配偶者の性別は問いません。また、同じ年の夫婦は年の差の数カ月分しかもらえないということになります。これは、年金版の家族手当のようなものです。

どれくらいもらえるのかというと、年間で、配偶者がいると23万4800円、子どもがいると2人目までがそれぞれ23万4800円、3人目以降は7万8300円が加算されます。

さらに、配偶者がいる場合は、受給者の生年月日に応じて3万4700~17万3300円の特別加算ももらえます。

これから年金をもらい始めることになる人は1943年4月2日以後の生まれですから、特別加算は17万3300円です。つまり、加給年金の合計額は年間40万8100円になります。申請するだけで、これだけの金額を受け取れるのです。