「どうせなら、繰下げ受給をしたうえで、加給年金をもらえたら助かるのに」
そんな願いを可能にする裏ワザが、実はあります。
それは、国民年金か厚生年金のどちらかを繰下げるという方法です。どちらを繰下げるかというと、国民年金です。国民年金だけを繰下げると、配偶者が65歳に到達するまで、毎年約40万円の加給年金をもらえます。しかも繰下げた国民年金は、1カ月0.7%ずつ増額されていきます。
4割の人が「知らない」と回答している
配偶者が65歳に到達するまでに5年だとしたら、その間繰下げると、42%の増額。国民年金を満額もらえるとしたら年間81万6000円(2024年)です。それを5年間繰り下げると61万6000円×1.42で、年間115万8000円です。
どうしてこういうことができるのかというと、加給年金は厚生年金に対する加算で、セットで支払われるためです。逆にいえば、国民年金とは連動していないため、繰下げても影響を受けないのです。
加給年金をもらえる要件を満たす人は、ぜひ実行してください。
加給年金は、ねんきん定期便に記載されていないせいか、4割の人が知らないというアンケート結果があります。
年金をもらい始める前なら忘れずに請求することです。また、請求を忘れていた場合でも、気づいたときには配偶者が65歳を迎えていたとしてでも、5年以内であれば、さかのぼって支給される可能性があるので、すぐに請求しましょう。
もらえるものは、きっちりもらっておくことです。
「申請しないともらえない年金」は他にもある
年金には、60~64歳まで受給できる特別な年金もあります。
それが、特別支給の老齢厚生年金です。
しかし、この年金の請求を忘れている人がとても多いようです。原因は、「年金は65歳から」という思い込み。なかには、繰上げ受給と勘違いしている人もいます。特別支給の老齢厚生年金と、繰上げ受給は全くの別物です。
特別支給の老齢厚生年金は、1985年の法改正で厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことに起因します。いきなり65歳からの受給に切り替えると、60歳からもらっていた世代と金額面での格差が生まれてしまうため、その是正のための対策です。移行期間の特別措置としてつくられた制度のため、知らない人が多いのかもしれません。
そして、特別支給の厚生年金も申請しないともらえない年金の一つです。それでも、しっかりもらっている人もいます。知らなかったからもらい損では、「年金最大化生活」は実現できません。
生年月日と年金加入期間は要チェック
特別支給の老齢厚生年金をもらえる要件は、次の2つです。
一つは、生年月日です。対象となるのは、男性が1961年4月1日以前生まれ、女性が1966年4月1日以前生まれの人です。ただし、女性で公務員として働きながら共済年金の加入期間がある場合は、生年月日の期限が男性と同じになります。