いつも朗らかでいるコツは何か。精神科医の和田秀樹さんは「感情とのつき合い方が上手な人は、怒ってもカラっとしてるし、自分が悪いと思えば素直に謝る。その人たちには共通点がある」という――。

※本稿は、和田秀樹『感情的にならない本』(PHP文庫)の一部を再編集したものです。

変えられないものは放っておけばいい

感情的にならないためにどうすればいいか、あなたはいま、短く答えることができますか?

いちばん有効な方法は「動くこと」でした。

自分の気持ちといつまでも向き合っていないで、どんどん動いて外を向くこと。

起きてしまったイヤなことや、他人の悪感情なんかにとらわれないで、目の前のやるべき仕事や作業をさっさと片づけていくこと。

つまり、変えられないものは放っておいて、変えられるところから変えていくのが溌剌はつらつとした感情を保つコツです。

あなたの周りの朗らかな人、明るい感情であなたと向き合ってくれる人、みんなを元気にしてくれる人、そういった人たちを思い出してみましょう。

いつも行動的ですね。

もちろんそういう人でも、感情的になることはいくらでもあります。泣いたり笑ったり怒ったり、人間だから当たり前ですが、喜怒哀楽をわりとはっきり出す人たちなのです。

でも、イヤな感情にいつまでもとらわれることはありません。怒ってもカラっとしてるし、自分が悪いと思えば素直に謝ります。感情とのつき合い方が上手なのです。

紙の笑った顔
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです

グズグズした気持ちを切り替えるには

悪感情を引きずるタイプはどうでしょうか?

グズグズと恨み言をいい続けたり、ヒステリックに他人を攻撃したり、済んだことをいつまでも悔やみ続けるような人は、決断力も行動力も鈍いように見えます。つまらないことにこだわり続けるというのは、それだけ気持ちが内向きになりやすい人ですから。切り替えができないのです。

スパッと答えを出す人は違います。

答えを出して行動に移すことで、グズグズした気持ちも切り替えることができます。イヤな感情につかまっているときでも、すぐにそこから抜け出すことができるのです。

ではどうすれば、すぐに動ける人になれるでしょうか。

動くためには明快な行動方針が必要です。といってもむずかしいことではなく、迷いやためらいが生まれてもそれをふり切る考え方のことです。

たとえば「チャンスかもしれないな」「おもしろいだろうな」と考えても、そこで迷ってしまうと結局、動けませんね。

「どうしようか」「失敗するかもしれないな」「もうちょっと様子を見るか」となります。これでますます動けなくなります。