欠陥だらけでも強行するなんて狂気の沙汰

これらのトラブル発生により、医療費をいったん10割請求(保険外扱い)した事例は、403の医療機関で少なくとも753件に上りました。また、トラブルが発生した医療機関の83パーセントは、その日に患者が持っていた従来の健康保険証で資格確認を行ったと回答しました。

都内で記者会見した保団連の竹田智雄会長は「政府はマイナ保険証利用率アップのために巨額の予算を投入する方針だが、システムが不完全なまま保険証をなくせば、医療現場が大混乱することは明白だ。(従来の)保険証はなくすべきではない」と訴えました。

普通に考えれば、いまだ完成度が低く「バグ(原因見落としによる欠陥)」があちこちに存在するシステムを、国民の命と健康に関わる健康保険証の代替物として事実上強制する政府の方針は「狂気の沙汰」に思えますが、その背景には何があるのでしょうか?

自民党に献金した企業が得た「見返り」

2023年7月13日付のしんぶん赤旗は、政府のマイナンバー事業を計123億1200万円で受注した企業5社のうち、日立製作所と富士通、NEC、NTTデータの4社が、2014年から2021年までの間に計5億8000万円を、自民党に献金してきたと報じました。

そして、自民党に高額献金した各企業には、内閣府や総務省、財務省、経済産業省、国土交通省などの幹部が多数「天下り(退官した官僚の再就職)」したと伝えました。

2023年5月31日付の東京新聞によれば、「マイナ保険証」の資格確認はNTTの光回線が独占した状態にあり、ある歯科医院院長の「すべてが決められた回線や高い価格で進められており、ぼったくりでは」とのコメントも記事で取り上げました。

また、「マイナ保険証」の普及に伴う従来の健康保険証廃止について、経団連と並ぶ経済団体「経済同友会」の代表理事を務める新浪剛史代表幹事が、2023年6月28日の記者会見で次のように述べると、国民から大きな批判が湧き起こりました。

「(政府が健康保険証廃止を目指す2024年秋は)納期、納期であります。民間はこの納期って大変重要で、必ず守ってやり遂げる。これが日本の大変重要な文化でありますから、(政府は)ぜひとも保険証廃止を実現するよう、納期に向けてしっかりやっていただきたい」