それぞれの特徴や違いとは

インフルエンザHAワクチンとフルミストを比べると、以下の違いがあります。

インフルエンザHAワクチンは、ウイルスを不活性化した「不活化ワクチン」ですから、妊娠中も接種可能です。一方、フルミストは生ワクチンなので、妊娠中の女性は受けられません。また、接種後1〜2週間は、飛沫感染、接触感染の可能性がわずかながらあるため、重度の免疫不全者との接触を避けたほうがいいです。授乳中の人が受けた場合も、1〜2週間は乳児との接触を可能な限り避けましょう。

有効率(予防効果)については、インフルエンザHAワクチンは50〜60%(2015/16シーズンVI歳未満)で、フルミストは12.5〜42%(国内第III相試験)です。有効期間は、インフルエンザHAワクチンが半年間くらいで、フルミストは1年間くらいでしょう。

接種費用に関しては、HAインフルエンザワクチンは多くの市町村で助成がありますが、フルミストに助成が出る自治体はまだごくわずか。自費のワクチンは医療機関によって料金が違いますが、フルミストはだいたい8000〜9000円のようです。フルミストの利点はなんといっても痛くないところ、1回の接種でいいところでしょう。

なお、どちらも他のワクチンと接種間隔を開けなくてもよく、同時接種も可能です。それぞれの利点を理解して、どちらを受けるか決めるといいでしょう。

【図表2】インフルエンザHAワクチンとフルミストの違い

新型コロナワクチンの同時接種

もう一つ、今シーズン話題になっているのが、新しい新型コロナワクチンです。新型コロナワクチンは、インフルエンザワクチンの不活化・生のどちらとも同時接種が可能。子どもに対する新型コロナワクチンのデータは、大人ほど多くはないものの、世界中で使用されたことから多数集まっています。その安全性と有効性は確かで、詳しく知りたい方は日本小児科学会の出している「2024/25シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」をご覧ください。

「子どもは新型コロナにかかっても軽症で済むし、亡くなることはない」と考える人は多いと思います。ところが新型コロナウイルス感染症は「子どもにとっては風邪程度」ではなく、2023年の「人口動態統計月報年計」で、1〜4歳の男児・女児および10〜14歳の女児の死因の第5位です。亡くならないまでも、重症化してつらくなったり、後遺症が残ったりした子がたくさんいます。ニュースで報道されないだけで、子どもの死亡原因として上位に入るほど、新型コロナウイルス感染症によって亡くなっている子どもがいるということを知ってください。

2024年9月19日時点で日本で入手可能なワクチンは、ファイザー社の「コミナティ」、モデルナ社の「スパイクバックス」、第一三共の「ダイチロナ」、Meiji Seikaファルマの「コスタイベ」、タケダの「ヌバキソビット」ですが、ダイチロナは12歳以上、コスタイベは18歳以上にしか使うことができません。

それぞれの特徴は以下の通りです。接種を考えている人は参考にしてください。

【図表3】日本で入手可能な新型コロナワクチンの特徴