子どもの暴力行為件数は過去最多に
小さい頃からキレやすく、いわゆる「かんしゃく持ち」。または、授業中、教室を走り回り座って授業を受けられなかったり、友達ができずに学校になじめかったりする子どもが増えています。
文部科学省の調査によれば、2022年度の小・中・高校における暴力行為の発生件数は9万5426件で、過去最多となっています。中でも小学生の暴力行為が増加しており、23年度から25ポイント増加。2015年度から約3.6倍に増えています(※)。
※「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
お子さんのこんな状態に心当たりはありませんか? その状態は、「脳の栄養失調」が原因かもしれません。
・いつもイライラしている
・キレやすい
・落ち着きがない、じっと座っていられない
・集団生活になじめない、友達ができない
本人の性格や親の育て方が原因?
このような状態を、子どもの性格や遺伝だからとし、なんとなく子ども自身のせいにしたり、「なぜ、こんな子になってしまったの?」とか、「育て方が悪かったのかしら?」と自らの子育ての仕方のせいにして悩んでいる方。一方で理由がわからずに悩んでいる方など、心を痛めている親御さん達は多いと思います。
でも、それは、性格や遺伝、育て方の問題ではなく、子どもたちの栄養状態からきているものかもしれません。
総合診療医として長年小児科診療に携わり問題を抱える多くの子ども達やご家庭を見てきた経験から、このような問題は、栄養学的な問題から生じた結果であると、私は考えています。なぜなら、脳の状態(精神的な状態や神経的な状態)は、脳のホルモン(神経伝達物質)の過不足に影響されるからです。
脳内のホルモン(神経伝達物質)には、やる気を高める興奮系、安定させる抑制系、これらを調整する調整系があり、そのバランスが取れているとき、脳(精神状態)は安定した状態となります。イライラやキレやすいというのは、このバランスが崩れ、興奮系のホルモンが優勢に働いている時に起こります。
つまり、「落ち着きがない」「キレやすい」「じっと座っていられない」「友達ができない」「集団生活になじめない」といった子どもの問題行動には、脳科学的な要因が大きく関与していると考えられています。