長期休暇後に子どもが不登校になってしまうのはなぜか。総合内科専門医の梶尚志さんは「給食のない休暇中は偏った食生活で栄養不足に陥りがちになる。その結果、疲れやすくなったり学習意欲が低下したりといった悪影響が生じることがある」という――。
家の床に座っている悲しい少年
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不登校の児童・生徒数は過去最多

今、日本では、夏休みなどの長期休暇の後に、学校に行けなくなる子ども達が急増しています。

そもそも、不登校の児童生徒数は年々増加しており、特に夏休み後にその傾向が顕著なのです。文部科学省の調査結果によれば、2022年度には不登校の児童・生徒数が29万9048人に達し、過去最高を記録しました。

うまく学校生活に戻れなくなる理由として、いくつかの理由が挙げられます。

・生活リズムの乱れ
・休み明けの学校生活に対する不安やストレス
・休み中、友人との関わりが少なくなることからの社会的な孤立感

その中で、特に食生活も含めた生活のリズムの変化や乱れについては、家庭内でも取り組むことができることが多く、とても重要なポイントと考えています。

スマホの使い過ぎは睡眠を妨げる

生活のリズムが乱れると、体調にどのような変化が生じるのでしょうか。

まずは睡眠に問題が出てきます。長期休暇中は、夜更かしや遅寝遅起きが増えるため、通常の学校生活の期間に比べて生活リズムが大きく乱れます。これにより、体内時計が崩れ、夜に眠りにつきにくくなったり、朝起きるのが難しくなったりします。

また、休暇中は、テレビ、スマートフォン、コンピュータなどのスクリーンに触れる時間が増える傾向があります。特に、夜間にこれらのデバイスを使用することで、ブルーライトがメラトニンの分泌を抑制し、睡眠を妨げることがわかっています。

Blocking nocturnal blue light for insomnia:Ari Shechte et al. J Psychiatr Res. 2018 Jan: 96: 196-202

次に、給食のない休暇中は食生活が偏り、栄養不足に陥りがちです。疲れやすい、勉強したくなくなる、怒りやすい、といった変化は必要な栄養を摂れていないサインだと言えます。

例えば、鉄分やビタミンB群が不足すると、エネルギー代謝が低下し、疲労感が増します。特に鉄分不足による貧血は、全身の倦怠感を引き起こすことがあります。

オメガ3系脂肪酸やビタミンB群(特にB6、ナイアシン)が不足すると、脳の機能が低下して、集中力や記憶力に悪影響を及ぼします。これにより、学習意欲が低下することがあります。