低気圧や雨雲の接近などで起こる体調不良は「気象病」と呼ばれている。総合内科専門医の梶尚志さんは「気温も湿度も高くなる梅雨の時期は、とくに不調が起きやすい。頭痛や倦怠感、気分の落ち込みに悩まされるのは、栄養不足が原因かもしれない」という――。
頭を触ってみている女性
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梅雨は心身の不調をきたしやすい時期

当院では春から梅雨時にかけ、心と体の不良を訴えて受診される方が多くなります。

この時期は、1日の寒暖差が年間で最も大きく、天候の変化も激しい季節のため、変化についていけない体はストレスを受け、体調を崩しやすくなります。

さらに、新年度と重なるため新社会人が一人暮らしを始めたり、人事異動や転勤といった生活環境や人間関係の変化から心もストレスを感じ、メンタル不調を招きやすくなります。

このように、さまざまなストレスを体と心が受けることで体調不良をきたしているのです。

近年、気温や天気の変化により引き起こる不調は「気象病」と呼ばれ、注視されていますが、長雨が続き、気温も湿度も高い状態となる梅雨こそ、心身の不調をきたししやすい時期であると捉えており、梅雨時期の不調症状を私は「梅雨病」と呼び、注意を呼びかけています。

梅雨病の症状は、つぎのようなものが代表的です。

・頭痛
・倦怠感
・気分の落ち込み

気圧と湿度の変化が頭痛を引き起こす

「梅雨病」の中で、頭痛をはじめとした痛み症状の悪化を訴える方が多くいらっしゃいます。梅雨時にその痛みの増悪因子として大きな影響を及ぼしているのが、気圧の変化です。特に台風や雨など低気圧が近づいてくると、交感神経の緊張状態が起こります。その緊張状態が血管の収縮と拡張の要因となって、血管性の頭痛、いわゆる片頭痛を起こしやすくするわけです。

そして、交感神経の緊張状態による血管の収縮、血流の低下から、炎症をきたす物質が誘発されることで、さらに痛みが増強することになります。

また、耳の奥にある内耳という部分に気圧を感じるセンサーがあり、低気圧が近づいてくると、この気圧センサーが働き、交感神経に作用して頭痛を誘発する可能性があります。

気圧だけでなく、湿度の上昇と頭痛の誘発の関係が医学統計でも認められています。