成功した企業の後追いでは、絶対に勝てない

エスワンオー社長 
佐藤俊介 

1979年生まれ。2001年日本大学理工学部卒業、バリュークリックジャパンに入社。03年ディーパー設立。副社長を経て、06年退任。同年エスワンオーを設立、現職。

フェイスブックで約393万人の「ファン」を獲得しているのが、アパレルブランドの「サティスファクション・ギャランティード(SG)」だ。

SGの運営元は06年に創業したネット専業の広告代理店「エスワンオー」。佐藤俊介社長はアパレルに関しては素人だったが、「ブランドをつくる力を証明したい」と考えて、07年にSGをスタートさせた。

「ブランドをつくるだけではなく、メーカーとしてモノをつくって売るところまでやりたかった。商品やロゴのデザインも自分たちで手がけて参入しました。しかし業界は閉鎖的で、『ブランドを立ち上げるには最低10年はかかる』といわれた。得意のネットは使わないつもりでしたが、『それなら3年でやってやろう』と考えたのです」

そのときに選んだ「然るべきプラットフォーム」(佐藤社長)がフェイスブックだった。日英2カ国語でページを開設したのは10年2月のことだ。当時、日本を代表するアパレルブランドでも、ファン数は数万人と少なく、それも一部のファンが自主的につくったページにすぎなかった。

準備は整っていた。08年、東京・代官山に路面店をオープン。立ち上げからわずか1年での開業は業界では異例といわれたが、ブランドの世界観を伝えるためには店舗の存在が欠かせないと考えた。商品は男性用のカジュアル服。日本製にこだわってつくり込み、世界で通用する質の高さやデザインを意識した。そのうち、店舗を訪れたスタイリストや芸能人が、SGの独特の世界観に共感し、静かに人気が広がるようになった。