アカウントはなくても、著名人の「ツイート(つぶやき)」を見るなど、ソーシャルメディアやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の利用経験をもつ読者は多いだろう。
特徴のひとつは、情報伝達のスピードの早さだ。利用者の関心が高い話題は、ときに発信者の思惑を超える速度で共有され、拡散していく。それは大きなチャンスであり、同時にリスクにもなりうる。マーケティングを考えるうえで、もはや無視できない媒体へと成長している。
利用者数の増加には波がある。ミクシィは06年から07年、ツイッターは08年から09年に国内での利用者を激増させた。10年にはフェイスブックがサイトへのアクセス数で検索最大手グーグル(Google)を抜き、世界一になった。
フェイスブックは米ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが、学生向けに、04年から開始したサービスである。実名登録制で、利用には個人情報の登録が必要だ。参加へのハードルは高いが、それだけ親密なコミュニケーションを交わすことができるとして世界中で利用者が急増した。
一方、一大ブームとなったツイッターは、東日本大震災であらためて注目を集めた。11年3月の利用者数が約1800万人に達したのは、多くの人が、震災関連の情報をツイッターに求めたからだとみられている。
ツイッターが開始されたのは06年7月。日本語版が始まったのは08年4月。140字以内の短文を投稿・閲覧するというシンプルなサービスだ。アメリカではオバマ大統領やホワイトハウスがいち早く情報発信に活用した。日本でも首相官邸や各省庁、報道機関が情報発信に取り組んでいる。震災後に急遽開設されたアカウントも多い。そして多くの企業でも、宣伝やPR、情報収集のためにツイッターの活用が進んでいる。
こうしたソーシャルメディアをビジネスで活用するうえでは、何がポイントになるのだろうか。
ひとつは、利用者との距離の取り方だ。たとえば「仕事」と「プライベート」を分けたいと考えても、利用者はそれを一体に捉えてしまう。発言によっては「不謹慎」との誹りを受けることもあるだろう。距離の近さには、チャンスとリスクが共に潜む。