MM総研の予測によると、2012年のスマートフォン(以下、スマホ)普及率は37.7%。本格普及を背景に、SNS(交流サイト)関連企業の業績が軒並み好調だ。中長期で成長が期待できるのはどの会社か。

筆頭に挙げられるのがDeNAだ。今年5月、ソーシャルゲーム(SNS上で提供されるゲーム)内の課金方法「コンプガチャ」が社会問題化し、株価が急落。だが、9月には急落前の水準まで回復し、影響は限定的に終わった。2012年4~9月期の営業利益は前年比30.3%増の387億円。国内ゲーム販売の好調さが業績を牽引した格好だ。

12年の国内ソーシャルゲーム市場は約4500億円と予想する。13年以降も成長は続くとみるが、伸びは鈍化するだろう。それに代わる新たな収益源となりそうなのが、海外市場でのゲーム販売だ。DeNAは10年にソーシャルゲーム会社ngmocoを買収。海外従業員比率も高まっており、現在、約5割に達する。積極姿勢が功を奏し、12年10~12月期の海外ゲーム内通貨消費は約48億円を見込む。これは同年7~9月期の2倍の水準である。こうした数字からも、海外市場が今後の成長エンジンとなる可能性が高いと言えよう。

一方のライバルGREEはどうか。失速を懸念する声もあるが、実はDeNAとの差はさほどない。海外展開ではDeNAが半年ほど先行するが、GREEの成長も十分期待できるだろう。

サイバーエージェントも堅調だ。同社はネット広告専門会社としてスタートしているが、時代に合わせて注力する事業をシフトしてきた。今期の利益を牽引するのはソーシャルゲーム事業である。同事業を手がける連結子会社のCygamesは11月、DeNAとの資本・業務提携を発表。業績拡大を狙う。また、同社は今期、スマホ向けSNS「アメーバ」の事業に人材や広告宣伝費を積極投資している。同事業の拡大が今後の成長のカギを握るだろう。

各社好調の中、やや苦戦するのがmixiである。最大の要因はスマホ対応への遅れ。同社の利益を支えていた携帯電話(スマホを除く)の広告売り上げは、10年から11年にかけ約4割下落した。FacebookやLINEなど他のコミュニケーションツールも台頭しており、他社比較で成長力に乏しい現状だ。

(構成=プレジデント編集部)
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