リクルートエージェントによると、2年前に比べ求人数は約50%減。その一方、一部の職種では売り手市場に沸いている。激戦の転職市場で、有利に働く学歴・職歴を明らかにする。
IT系企業では、採用を強化するため、人材紹介会社に支払う紹介手数料を年収の100~200%までに上げているケースも出ている。紹介手数料は大手人材紹介会社で35%程度。求人数が落ちこんだこの1年くらいは、20~30%までダンピングしていたこともあるので、これは破格の対応といえるだろう。さらに、DeNAやGREE、ドワンゴなどのように200万円程度の入社支度金を支給する企業も現れている。
現在、転職において最も引く手あまたな職歴の一つは、WEB系エンジニアだといえよう。
リクルートエージェントによると、IT系企業では現在、「経営・業務管理」職の採用も活発に行っているという。
この業界における経営・業務管理人材に対する期待は高まっている。グローバル展開を視野に入れた戦略立案、他社との戦略的アライアンス、M&Aも視野に入れた多角化の展開、グループ戦略の立案、さらには急成長を続ける中での社内の制度や組織の設計などが急務だからだ。これらの企業に求められているのは、常に「次の成長戦略」である。いつもスピードが求められるのだ。
もう一つの背景は「戦略と組織の若返り」が求められていることである。現在、日本の主要ネット企業の多くは、実は創業10年を超えている。外から新しい人材を確保することによって、「ベンチャー」であり続けようとしているのだろう。
彼らが欲している人材は、総合商社や都市銀行をはじめとした大手企業で経営企画や経理業務に従事してきた人材だ。実際、総合商社の経理職からIT企業に転じ、最年少で部長職に就いた人もいる。出世まで時間がかかる大手企業に辟易した人が、若くて勢いのあるIT系企業に活躍の場を求めるケースが増えているという。
経営・業務管理職は、他の業界への応用度が高く、いつの時代でも比較的ニーズが高い職種である。
もう一つ、求人が過熱しているマーケットがある。医療業界である。
前述の通り、医療技術者やメディカルエンジニアは、圧倒的な売り手市場が続いている。
医療機器業界では、薬事や品質保証、安全管理の分野でのニーズが高い。国内中小から外資系大手まで、多くの企業が積極採用を行っている。また、医薬品メーカーで新しい技術や新薬を実用化する臨床開発職の求人も増えている。
この業界では、営業職などの文系職種への求人も活発化している。中でも医師などに医薬品情報を提供するMRへの需要が高い。
最近、医療業界の中で注目されているのがCSOと呼ばれる業態である。CSOとは、製薬業界の営業・マーケティング業務のアウトソーシングを担う業態であり、現在、MRの求人の多くは製薬業界でなく、ここから出ている。CSOは年間100人単位でMRの中途採用を行っている。
MRについては、経験者はもちろん重宝される。職務ノウハウがあるだけでなく、営業先である医師などの人脈を持っているからだ。ただ、CSOに関しては、未経験者も積極採用している。求人広告の営業からCSO系のMRに転じた人によると、入社2年目で第二新卒での転職にもかかわらず、年収500万円での転職が実現できたという。
※すべて雑誌掲載当時