経団連は、政府が呼びかけてきた「出勤者数の7割削減」について、「科学的な知見」を踏まえて見直すべきだと提言している。これに対し「テレワークをやめろというのか」という批判の声がある。働き方評論家の常見陽平さんは「経団連の提言も、それを批判する人も本質を見失っている。出社と在宅を二項対立で考えるべきではない」という――。
電車に乗り込む人々
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「体質が古い」といった批判の声

国内における新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いてきた。東京や大阪などの大都市でも新規感染者数が30人以下という日が続いているし、重症者や死者も減っている。ワクチン接種が進んだことや、接種後もマスクをつけるなど「新しい行動様式」が徹底されていることなどが要因ではないかと推測されている。ワクチン接種が先に進んでいた欧米諸国で感染が再拡大している。第6波の到来が懸念され、「人類が新型コロナに打ち勝った」と宣言するのはまだ早いが、少なくとも国内において状況は改善されつつある。

感染が落ち着く中で気になるのは、「コロナ後は以前のような働き方に戻るのか」という点だろう。皆さんの勤務先も緊急事態宣言の解除や、感染者数の減少などから、働き方の変化が表れているのではないか。

財界や大手企業各社から、今後の働き方に関する方針が発表され、賛否を呼んでいる。政府が新型コロナ感染拡大対策として呼びかけてきたテレワークなどによる「出勤者数の7割削減」について、経団連は見直すべきだとする提言を出した。楽天は週あたりの出社を4日とする方針を打ち出した。これらの方針に対して、ネット上では「体質が古い」「いまさら出社なんて」「これをやらせようとするのは体育会体質」というような声が散見された。

出社させることは古い考え方なのか

気持ちはわかる。ただ、少しだけ冷静になりたい。「人類が新型コロナに打ち勝った。だから全面的に出社を再開するべきだ」という意見はあまりに牧歌的だが、「出社など古い」と断じる見方もまた硬直化したものの見方だ。別に出社再開を礼賛し、テレワークの実施を批判するわけではない。論じ方が二重、三重にこじれているのである。

本稿での問題意識を先に述べると次のようになる。

1.そもそもテレワークの実施率は高かったのか(時代錯誤と断じられるほど、みんながやっているものなのか)
2.現状のテレワーク(特に在宅勤務)に問題はないのか(出社日数を増やすことは本当に非合理的なのか)
3.感染症対策から新しい働き方の実現へと、テレワーク実施の目的を変えなくてはならないのではないか

それぞれ順に考えてみよう。