「玉木雄一郎首相」という展開もあり得る
新潟5区・高鳥修一、大阪19区・谷川とむ、長野1区・若林健太、愛知7区・鈴木淳司、宮城1区・土井亨、埼玉13区・三ツ林裕巳ら各氏は落選。杉田水脈さんは衆院選立候補を断念し、比例復活が奈良1区・小林茂樹と北海道4区の中村裕之ら各氏で、順調に勝てたのは古屋圭司さんと関芳弘さんだけです。「もしも、総理が石破茂さんではなく高市早苗さんだったら」という話も多数聞かれましたが、今回の選挙結果を見る限り、自民党内の保守層の一部はある種のカルトであって、有権者全般からの支持を集めなければ勝ち残ることのできない衆議院選挙では高市早苗さんでは荷が勝つのではないかと思います。
そうなると、石破茂さんを降ろしても次の総理総裁に誰を推せば党勢を回復し有権者の信頼を勝ち取ることができるのかという難題もまた立ちはだかることになります。前回、9名も総裁選に出馬し、フルスクラッチで自民党の持つ人材を全力で審議したにもかかわらず、出てきた石破茂さんがこうであったことはよく考える必要があります。党員・党友の皆さんからの声望が高かったとしても、必ずしも国民の人気には直結するわけではなく、勝てる総理総裁とは限らないのだと学ぶこともまた大事なことではないかとも思うのです。
翻って、維新や国民民主党に思い切った譲歩をして、例えば総理を玉木雄一郎さんに、というような形で、「自社さ政権モデル」で乗り切る、という展開も出てくることでしょう。
外交の場で「どうせ辞める首相」の話は聞いてもらえるのか
そして、目下政権構想をめぐって多数派争いが行われています。本来であれば、早々に特別国会が開かれるべきところ、政治日程的に11月15日からAPEC首脳会議、17日に兵庫知事選、18日からG20首脳会議が行われます。石破茂さんがこの惨敗でも早期退陣することなく幹事長の森山裕さんと残留をしたとしても、このまま自由民主党・公明党の連立による少数与党で押し切ろうとするならば、当然来年の通常国会で年度末の予算成立とバーターに内閣総辞職を突き付けられるか、6月の会期末に不信任案を出されて7月に衆参ダブル選挙となるかという命運が待ち受けています。
つまり、日本近隣で戦争や災害でも起きない限り、石破政権は今後特に見せ場もなく淡々と追い込まれ辞めざるを得ない状況が約束されているのです。それであるならば、まだ責任を取って自ら辞めるという名誉ある勇退ができる判断をするべきだったのではないかとも感じるところです。そもそも辞めることが不可避の石破茂さんを総理としてAPECや日米首脳会談など重要な外交日程で送り出すべきなのかという難題も残ります。どうせ辞める総理を迎えた各国が、石破さんの話を聞いてくれるのかという素朴な疑問を持たざるを得ません。