10月1日に石破茂新内閣が発足した。新内閣の誕生は自公政権にどのような影響を及ぼすのか。『宗教問題』編集長の小川寛大さんは「岸田政権では公明党嫌いで知られている麻生太郎氏が影響力を持っていたが、石破内閣の発足によって公明党と関係の深い菅義偉氏や二階俊博系の人材が力を持つことになった。このことによって、自公政権のあいだに吹いていた“すきま風”は弱まるのではないか」という――。
新政権/衆院本会議に臨む石破総裁ら
写真=時事通信フォト
首相指名選挙が行われる衆院本会議に臨む自民党の石破茂総裁(上段右端)ら。同左端は麻生太郎氏=2024年10月1日午後、国会内

石井新代表への交代はスムーズではなかった

9月28日、公明党は党大会を開いて、山口那津男代表の後任となる新代表に、衆議院議員の石井啓一幹事長を選出した。同党の代表が交代するのは、実に15年ぶりの出来事である。

公明党の代表は、一応党内で「代表選挙」を開いて選出する決まりになっている。しかし同党が結党されて以来、この代表選挙に2人以上の立候補者が立ったことは一度もなく、結果としてすべて無投票で代表の顔が決まってきた。つまりは事前に党内での入念な調整が行われ、その人事決定に、例えば一般党員がもの申せるような雰囲気の組織ではないということなのだろう。

ただ、今回の石井新代表の選出をめぐるその「党内調整」は、必ずしもすんなりいったわけではないらしい。公明党内には、このタイミングでの代表交代に慎重な意見を唱える向きもあり、「山口続投論」もそれなりに支持されていたらしいのだ。

それは、公明党の代表人事について報じた一般マスコミの記事などにも表れている。例えばNHKは8月29日に公明党代表選について触れた報道のなかで、「(山口氏の)続投を求める声があり」としているし、ようやく党内の意見が「石井新代表選出」でまとまったらしい9月上旬、その状況を報じた朝日新聞の記事には、「(石井氏へ)二転三転の末に交代へ」(9月6日付、同紙)との表現がある。どうも党外からは見えないところで、相当のすったもんだがあったことは事実のようだ。