衆議院選挙は10月27日の投票日まで1週間を切った。ジャーナリストの宮原健太さんは「裏金問題の逆風は大きく、自民党議員の苦戦が報じられている。一方、東京都の一部の選挙区では『野党共闘の解消』が情勢に影響を与えており、立憲民主党の関係者からは嘆く声も聞かれる」という――。
第50回衆議院選挙候補者のポスター掲示場=2024年10月14日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
第50回衆議院選挙候補者のポスター掲示場=2024年10月14日、東京都中央区

「裏金問題による選挙戦の逆風は想像以上だ」

10月27日の投開票に向けて与野党が激戦を繰り広げている解散総選挙。

自民党は裏金問題による大逆風を受けており、議席を大幅に減らすと見られている。

特に、裏金議員は一部が非公認になったほか、公認された議員も比例代表への重複立候補が認められていないため、どんなに相手候補と接戦を繰り広げても、落選すれば比例復活はなく、議員バッジを外さなければならない。

そうした中、大臣を務めた大物議員の苦戦も報じられており、衆院選は大波乱の状況だ。

「裏金問題による選挙戦の逆風は想像以上だ」

永田町に駆けめぐる、さまざまな政党や報道機関による情勢調査を眺めながら、自民党関係者は絶句した。

特に、地方のような固定票や組織票が少なく、無党派層や浮動票が多い東京都で、逆風はより強くなっている。

都内では、下村博文氏、平沢勝栄氏、小田原潔氏、萩生田光一氏の4人が裏金議員として非公認となり、山田美樹氏、丸川珠代氏の2人が公認されたものの比例重複なしとなった。

このうち盤石の態勢を築いているのは平沢勝栄氏のみである。

テレビ出演を重ねて培ってきた圧倒的知名度から、これまでも東京17区において圧勝を続けており、立憲もこの選挙区への候補者擁立を見送っている。

今回は日本維新の会、共産党、国民民主党がそれぞれ候補者を擁立しているが、平沢氏は大きくリードを保っている。

「大臣経験者」も窮地に陥っている

それに対して、下村氏、小田原氏、山田氏、丸川氏の4人は野党候補にリードを許しており、萩生田氏も大接戦を繰り広げている状況だ。

文科大臣や党政調会長などを歴任してきた下村氏は、これまで東京11区で一度も敗れることなく9選を重ねてきたが、裏金問題で非公認となるなか、立憲民主党元職の阿久津幸彦氏にリードを許して苦戦している。

また、環境大臣や五輪担当大臣などを務めてきた丸川氏も立憲元職の松尾明弘氏に対して劣勢だ。

1票の格差を解消するための区割り変更「10増10減」によって東京都内の選挙区が増えたため、満を持して参院議員から衆院選の東京7区に鞍替え出馬した形だが、国会議員を続けられなくなるかもしれない窮地に陥っている。

小田原氏も山田氏も2021年の前回選では小選挙区で勝利をおさめたが、相手は立憲でも長く議員を務めてきた大河原雅子氏や海江田万里氏であるため厳しい戦いだ。