立憲都連関係者が嘆く「東京ならでは」の事情

先に述べた通り、東京は固定票や組織票が少なく、浮動票が多いため、地方に比べて共産票が出やすいという特色がある。

そのため、立憲の東京都連では共産に候補者を降ろしてもらうことが選挙戦略のセオリーになっており、共産の支援によって自民に競り勝つ候補も多くいた。

実際に今回も、公党同士の野党共闘が崩壊した一方で、9選挙区においては共産が立憲候補を自主支援し、1選挙区は自主投票とすることを決めている。

ただ、前回衆院選で共闘が成立していた東京15区と、東京18区には共産が候補者を新たに擁立しており、立憲は苦しい戦いが強いられている。

東京15区と言えば、自民党の柿沢未途元衆院議員が「政治とカネ」の問題で逮捕され、今年4月の補欠選挙では自民が候補者擁立を見送る中、小池百合子都知事が乙武洋匡氏を擁立した選挙区だ。

結局、各党乱立の中で乙武氏は沈み、立憲の酒井菜摘氏が初当選を果たしたが、このとき共産は酒井氏と政策協定を結び、擁立する予定だった候補者を降ろして、酒井氏の支援に回っていた。

まさに、野党共闘が勝利を収めた形だったが、今回は共産も前回降ろした小堤東氏を擁立。

各政党や報道各社による情勢調査の一部では、酒井氏が自民の擁立した大空幸星氏にリードを許している情勢となっている。

立憲都連関係者は「相手の大空氏が25歳の超若手で、これまでメディアへの露出も多かったことから苦戦している側面もあるが、共産に候補者を立てられてリベラル層が割れている影響は大きい」と嘆く。

曇天の国会議事堂
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「混迷を極めた政治」にどのような審判を下すのか

また、引退を表明した菅直人元首相のお膝元である東京18区でも同じ事態が発生している。

東京18区はもともとリベラルが強い地盤で、2021年衆院選では菅氏の街頭演説に共産の地方議員が駆けつけるなどもしており、野党共闘体制が十分に取られていた。

しかし、今回は菅氏から地盤を引き継いだ前武蔵野市長の松下玲子氏に対して、自民の福田かおる氏だけでなく共産の樋口亮氏も立候補している。

選挙序盤の情勢調査では松下氏が福田氏に競り負けているという情報もあり、ここも野党共闘瓦解が致命傷となる可能性がある。

こうした共産の動きについて、野党関係者は「共産が味方しないと勝てない選挙区があることを示して、立憲の共産離れを防ごうとしているのではないか」と語った。

一方で、立憲内からは「また共産との距離を詰めることになれば2021年衆院選の敗北を繰り返すことになる。そもそも共産が候補者を立てていても選挙に勝てる力を各議員つけなければいけない」という声も出ている。

今回の東京15区と18区は、共産候補が立っても勝つことができるのか。

立憲候補の地力が試されていると言えるだろう。

与野党をめぐる選挙の情勢は現在進行形で刻一刻と変わりつつある。

裏金問題の影響で、序盤から厳しい戦いを強いられてきた自民党だが、中盤になって逆風はより強まっているとの情報もある。

混迷を極めた政治に対して国民はどのような審判を下すのか。

その結果によっては、発足したばかりの石破茂政権が早くも崩壊することになるだろう。

投開票日の10月27日に向けて、選挙戦はさらに混迷を深めている。

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