子育て世代こそ高気密・高断熱に住むべき理由

欧米では一般的な高気密・高断熱住宅ですが、さまざまなメリットがあります。まず、暮らしがとても快適になります。QOL(人生の質)が大幅に向上するといっても過言ではないと思います。

例えば、低気密・低断熱の家は、どうしても冬に足元が冷えますが、図のように高気密・高断熱住宅は足元が冷えず、とても快適です。また、健康にもよく、エアコン1台で住戸全体を冷暖房することも可能で、冷暖房光熱費もとても安く済みます。

【図表】断熱気密性能の違いによる温度分布の違い

さらに、高気密・高断熱化に伴って建築費が増加しますが、それに伴う住宅ローンの支払い増加額よりも冷暖房光熱費の削減額のほうが大きく、経済的にもお得です。このように、高気密・高断熱住宅は、メリットばかりなのです。

特に子育て世代には、高気密・高断熱住宅に住んでいただきたいと、筆者は考えています。それは、子どものアレルギーや喘息のリスクが大幅に下がるからです。厚生労働省のデータによると、アレルギーも喘息も患者数の増加傾向が続いています。

結露で生じたカビやダニがアレルゲンに

一方、家の断熱性能が高くなると、アレルギーや喘息等の症状が改善されるという調査結果が明らかにされています。

【図表】各種疾患の改善率と転居した住宅の断熱性能との関係

医学的には、高気密・高断熱住宅に暮らすと、なぜ、これらの症状が改善されるのかは、まだ明らかにされていませんが、一般的に指摘されているのは、結露との関係です。

結露が生じるとそこにカビが発生し、カビはダニの餌になります。そして、カビ・ダニがアレルゲンとなり、喘息等の症状を引き起こすと考えられています。

【図表】結露とアレルゲンの関係

高気密・高断熱住宅は、すでに触れたように、普通の暮らし方をしていれば、結露は生じませんから、家の中のアレルゲンが減るわけです。お子さんの健康のために、ぜひ検討してほしいと思います。

ですが、高気密・高断熱住宅で暮らすためには、性能にこだわって注文住宅で建てるしか選択肢がないのが、日本の住宅マーケットの非常に残念なところです。