中村亮土(帝京大ラグビー部来季新主将)
史上初の全国大学選手権4連覇を果たした帝京大学ラグビー部。その原動力となったのが、日本代表候補のスタンドオフ中村亮土である。このたび、来季の新主将に決まった。
新チームの抱負を聞けば、謙虚で真面目な21歳は背筋を伸ばした。
「技術、実力のレベルアップはもちろんですが、部員全員が真摯な大人になって、みんなに愛されるようなチームを作っていきたいと思います。まずは精神的、人間的な部分から磨いていきたい」
今シーズンのラストゲームは日本選手権の準々決勝(2月10日・秩父宮ラグビー場)だった。トップリーグ(TL)四強のパナソニックに挑み、21—54で敗れた。だが中村のプレーは光った。鋭いランニングプレー、パスの出どころが相手に分かりづらいパスワーク、的確なキック、そして状況判断。
タックルも悪くない。からだを張る。チームのペナルティーの多さを反省しながらも、笑顔に手応えと自信ものぞかせた。
「通用した部分があった。バックスも思い切ってアタックできた部分もありました。追いつける距離だと思います。来年、もっと早い段階から(TLのチームに対して)準備期間をとってやっていけば、結果が変わるんじゃないかと思います」
鹿児島出身。鹿児島実業高時代から有名で、全国高校選手権大会に連続出場した。帝京大に進学してからは、U20(20歳以下)日本代表にも選ばれ、昨年春には日本代表入りした。将来が楽しみな逸材なのである。
経済学部経営学科3年生。体重が大学入学時から約10キロ増えて、93キログラムとなった。身長は177センチ。力強さが加わり、プレーの幅も広がった。ついでにいえば、報道陣への対応がきちんとしている。いつも、記者の質問に律義に答え続ける。
モットーが「感謝」。来季のターゲットは「大学選手権5連覇」「打倒! トップリーグトップ4」となる。5連覇への自信は? と話題を振れば、苦笑いを浮かべた。
「いやいや。毎年、チームの目標は、前の年のチームに追いつけ、追い越せです。今季のチームのように努力を怠らなければ、結果はついてくるんじゃないかと思います」
個人的な話として、日本代表のホープとしての期待もかかる。「(日本代表合宿に)呼ばれるかどうかわからないですが」と前置きし、語気を強めた。
「思い切りプレーして、自分の力を全部、出していきたい」