株式市場は過去何度も暴落を経験しているが、そのときにどう行動するかが投資成果を大きく左右する。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「リーマンショックとコロナショックの経験を生かして、今回の暴落ではうまく対処できた。そしていま“まさかの安値”で買うための準備をしている」という――。
株価暴落を心配する女性
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歴史的暴落は、繰り返す

今年8月1日、日経平均株価は約1000円もの暴落、翌日2日には約2200円もの大暴落、そして翌週5日には約4400円もの超暴落と、史上最大の下げ幅を記録しました。

私は20年以上の投資経験はありますが、これだけインパクトのある暴落は非常に稀です。

今年からNISAで投資を始めた人も多いかと思いますが、その人達は、いきなり、歴史的な暴落に遭遇したわけです。ただ、これは断言しますが、今回のような歴史的暴落は、過去、何度も繰り返されています。

この20年間であれば、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)が代表的な歴史的暴落と言えるでしょう。

このことは、私自身、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)として普段から口を酸っぱくして言っていますし、また、私自身の投資においても、常に心がまえをしています。

それでも、今回の暴落では、一瞬で車2~3台分の資産が吹き飛びまして、いざ暴落に直面すると、なかなか厳しい状況になることは避けられません。そこで今回は、私自身、これら歴史的な暴落にどう対処してきたのか、その失敗や反省も交えて、書いてみたいと思います。

リーマンショックで経験した最悪の対処

リーマンショックとは、2008年9月、当時のアメリカ大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに発生した、世界的な金融危機のことです。リーマンショック直前の9月中旬に1万2000円台だった日経平均株価は、10月下旬には一時7000円を割り込み、わずか1カ月半で4割以上もの大暴落となったのでした。

これが、私が初めて遭遇した歴史的な大暴落だったのですが、このときの私の対処は最悪で、投資において、一番やってはいけないことをやってしまったのでした。

それは、狼狽売り。

そのあまりの暴落っぷりに不安・焦り・恐怖といった感情が一気に押し寄せ、文字通り、狼狽えて、ほぼすべての保有銘柄を売ってしまったのでした。そのときは、あまりのショックに、「すべてを売るか、売らないか」の2択しか頭に浮かばなかったのでした。

そして、それはすなわち、「市場からの撤退」でもありました。

そんな最悪の対処をしてしまった理由としては、当時はまだまだ投資経験不足ゆえに、資産の大半を、日本株を中心としたリスク資産に振り分けていたこと、そして、確固たる投資スタンスを持っていなかったことでした。

そのときの損失は手痛い授業料となりましたが、もっと痛かったのは、(市場から撤退していたことにより)その後のアベノミクス上昇相場に乗り遅れてしまったことでした。投資において、上昇相場に乗り遅れることは致命的で、その意味でも、「市場からの撤退」は、絶対にやってはいけないことなのです。