英語の社内公用語化、店長・管理職全員が海外勤務へ。日本一先進的な経営者が、読者の身近な「悩み」に答えてくれた――。
Q ボク、英語がしゃべれません。もう会社はクビでしょうか?(35歳・男・メーカー)
ファーストリテイリング会長兼社長 柳井 正氏

相談されたあなたの勤めている会社がどれだけ英会話のスキルを必要としているかはわかりませんので、英語ができないからクビになるかどうかは判断できませんが、これだけは言えます。

もはや日本はビジネスに適した場所ではなくなっているのです。これは極論かもしれませんが、国内市場は、確実に縮小し、少なくともビジネスチャンスは減っていく。そのような現実の中で果たして、日本語だけで勝負しようという人が活躍できるフィールドがあるのかどうか、ということです――。

特に若い人は、英語でビジネスのコミュニケーションができない人は生き残っていけなくなるでしょう。

ですから、英語は必要最低限のビジネススキルとなってくるでしょう。クビになる、ならない以前に、英語ができないとどこも雇ってくれないという日は、そう遠くないのかもしれません。

しかし、それ以上に気になるのは、英語が話せないために、国際化された市場で、外国人と一緒に仕事をするとき、日本人が萎縮してしまうことです。

僕は経営の原理原則的なことに関しては、日本でも、アメリカでも中国でもどこでも一緒だと思っています。人間同士がお互いの利益を目指して競い合ったり、一緒に仕事をすることに関して、国籍による大きな違いがあるはずはありません。

日本人同士だと、言わなくても通じてしまうけど、いつもそんな環境に甘んじているから、いつまでたってもコミュニケーション能力が身につかないのです。日本人のビジネスパーソンに一番欠けている能力は、英語力というよりコミュニケーション能力だ、と思うのです。