外国人相手だと、何か言わなきゃ通じません。それどころか言っても通じない相手には、同じことを何回言っても通じない(笑)。でもね、それでもコミュニケーションしないと先には進まないんです。特に異文化の人と一緒に仕事をするうえでのコミュニケーションは大変重要なのに、日本人はこの“コミュニケーションする”という基本的な態度に欠けている。まずそれが問題です。
我々の会社の例だと、日本人が出向いて、外国で現地の人と店舗運営をする――。すると日本人だけが残業しているというケースが結構あるんですね。僕は、こういうのは最悪だと思うんですよ。現地の人と仕事をしていくんだったら、一緒に残業をやろうと伝えなければならない。きちんと経営者的な判断から残業の必要性を説明して、働くみんなに指示することができないとダメなんです。
ですから、まず英語がビジネスに必要かどうかを議論する前に、コミュニケーション能力を磨くことが重要です。効率が上がっていけば、今の日本のオフィスのように残業しなくてもよくなります。
「自分のことを全部理解してもらおう」、そして「相手のことを全部理解しよう」と思わない限り、コミュニケーションなどできません。そういう態度が日本人には欠けているという現実を踏まえておく必要があるのです。
相談者の方にお伝えしたいことは、英語が話せるようになることも重要ですが、自分の考えをまず、相手に理解してもらえるようなコミュニケーション能力を向上させることでしょう。英語ができれば、それにこしたことはありませんが、文法などは二の次でいいから、相手とコミュニケーションできることが大事だということを忘れないでほしいですね。
我々の会社でも社内の公用語を英語にすることが決定されていますが、これはじつは「みんなで勉強しよう!」というメッセージでもあるのです。即英語化というわけではなく、2012年の3月からスタートなので、これから勉強しても十分できるはずです(※雑誌掲載当時)。相談者の方も、しゃべれないことを悩む前に、少しでも英語で会話できるように、今、勉強を始めればいいのです。