コンタクトレンズを使う上で、気をつけることは何か。眼科医の林田康隆さんは「長時間の装着で、目の中は雑菌が増殖しやすい環境になってしまう。身近な医療機器だが、使い方次第では失明する可能性があることを知っておくべきだ」という――。(聞き手、構成=ライター市岡ひかり)
レンズ
写真=iStock.com/jjpoole
※写真はイメージです

ソフトレンズとハードレンズ、瞳に優しいのはどっち

――コンタクトレンズを使用する際に注意することは何でしょうか。

コンタクトを長時間装着することによるトラブル例が非常に多いです。最近もテレビで若い女性タレントが「人前でカラコンを外せない」と話していました。カラコンをまるで素顔の一部のように思ってしまっている若い人は少なくありません。

コンタクトレンズの着けっぱなしは感染症の原因になり、非常に危険です。

特にソフトレンズの使用者が不調を訴えるケースが多いです。ハードレンズの方が目を傷つけるイメージがあるかもしれませんが、違います。

ハードはレンズが小さく、まばたきするたびに動きます。すると、目とコンタクトの間の涙が交換されて、酸素や栄養が行き届くので目にやさしい。

一方、ソフトレンズは、黒目の表面を覆うようにしてつけるので、一度装着するとさほど動かず、物理的な涙の交換が悪いので、酸素不足や栄養不足に陥ります。ソフトレンズはその特殊な材質により、涙を吸ってレンズ越しに涙が浸透するように設計されていますが、ハードと比較するとその差は大きい。

ハードの場合、目が傷ついていると痛くて装着できないので、異常がわかりやすい。一方、ソフトは目に多少の傷があっても装着できるので、異常があっても気づきにくく、眼科に行かない人が多い。

多少充血していても「つけられるからいいか」としてしまうので、症状が出てきたことには病態がかなり進行していた、というケースもあります。