古いブランド品が100万円に換わるかも!

あらゆるものの値段が上がっている。普通に生活しているだけなのに、気づけば手元のお金が減っていく。今年は海外旅行にも行きたいのだが――。そんな今、昭和・平成を生きてきたわれわれが、ここぞとばかりに使うべき奥の手がある。それは押し入れに眠っている不用品を売ることだ。特に、ブランド品を持っているなら大チャンスかもしれない。

「売ったところで、二束三文じゃないの?」と言うなかれ。ここ数年はブランド品自体が激しく値上がりしているうえに、この円安が追い風となっている。海外の富裕層のあいだでブランド時計やバッグの人気は高まる一方で、きれいな中古品が並ぶ日本のお店までわざわざ買いに来る客も増えている。ものによっては購入価格より高く売れることも珍しくないのだ。

「世界的なインフレと円安によって、日本人がブランドものを新品で買うにはなかなか厳しい状況です。でも裏を返せば、すでに持っている品を高く売るチャンスです」

増川裕紀氏
増川裕紀 KOMEHYO名古屋本店本館 時計フロアマネジャー、シニアエキスパート。鑑定士として約20年のキャリアを持ち、買い取り・販売の両方においてチームの舵を取る。

というのは「KOMEHYO」の増川裕紀氏。数年前に買ったものでも、新品の定価が上がっているため、もとの値段より高く売れる可能性がある。

「新しい時計を買う前に古いものを手放そうと来店し、買い取り価格を聞いてびっくりする方も多いです」(増川氏)。

海外の主要なブランド各社は、原材料費や人件費の高騰などを理由に、すごい勢いで定価を上げている。たとえばロレックスは年に2回、8~10%の値上げをしているという。

「定価が上がれば中古品の値段も上がる。マンションや車と同じです」(同)

という説明には説得力がある。特に値上がりしているのが「きん」「高級腕時計」「3大ブランドバッグ」の3ジャンル。戦争やパンデミックの影響で、金の価格はとんでもない上昇ぶりだ。20年前は1グラムあたり約1000円だったのが、今や1万3000円を超える日もある。

大きく値上がりしている3つのジャンル

値上がり率が200%を超えるものも

高級腕時計の世界も熱い。特にロレックスの値上がりが顕著だ。

「腕時計市場では圧倒的にロレックスが人気です。どんなに古くてもロレックスなら、いい値段がつく可能性があります。特に5~10年前と大きく違うのは、アジア圏を筆頭とする海外の富裕層がロレックスを買い集めていることです」

と増川氏は指摘する。たとえばロレックスの「デイトナ」という人気モデルのうちの一つは、KOMEHYOでは2017年に平均196万円で売られていた。それが23年には約394万円と、ほぼ2倍になっている。一時より落ち着いたとはいえ、投資目的で購入する人の存在も価格高騰の一つの理由だ。

ブランドバッグは特に「3大ブランド」といわれるエルメス、シャネル、ルイヴィトンの人気が高く、中古でも高く買い取ってもらえる。同店でバッグ買い取りを担当する田口智章氏によると、3大ブランドの値段が下がりにくいのには理由があるという。

3大ブランドバッグなら買った値段より高く売れるかも!