GDP世界一に迫る躍進のインド経済

今、世界の市場でブームになっているのは、何といっても米国のAI関連株でしょう。AIなどに使われる半導体を作っているエヌビディアが6月18日、アップル、マイクロソフトを抜いて時価総額世界一になるなど、明るい話題も多くなっています。

一方で、新興国株については、それほど話題になっていません。でも第1回に掲載したGDPのランキングを覚えていますか? ここ数十年のうちに、インドやインドネシアなど新興国のGDPがトップ10に姿を現すことが予想されています。とくに着々とGDP世界一に近づいているように見えるのがインドです。

そのインドでは6月に下院総選挙が行われ、ナレンドラ・モディ氏が首相に再選されました。とはいえモディ氏が率いるインド人民党を中心とする与党連合が思ったほど議員数を伸ばせなかったことから、株価が急落。インド国立証券取引所に上場している50銘柄から構成される「NIFTY50」という株価指数は、一時4.9%の急落となりました。

ところが急落から3日というスピードで元の値に戻し、インド株に対する投資家の視線の熱さを物語りました。第1回の表でもわかるように、人口がこれからますます増える予測もあり、経済の規模が拡大していくことは間違いない。すでにインドは中間層が増えていますが、その一方で富裕層とボトムの人たちとの格差が広がっています。人口が14億人と多いため、富裕層の割合がちょっとでも増加すると、日本の富裕層の数よりずっと増えることもありうるわけです。

またインドはインフラがボロボロなので、今まさにインフラ投資をやっている真っ最中。いろんなインフラが整う日も近く、中国で10〜20年前に起きたことが、今はインドで起きている。つまり投資先としては、ほかにないほど魅力的な国になっていると考える投資家は多いです。