自分の資産を守るにはどうすればいいのか。経済評論家の上念司さんは「インフレ時代では普通預金の価値は目減りしていく。その対策として価格変動リスクを取る、つまり金融商品を買うべきだが、それならオルカンやS&P500よりTOPIXを買ったほうがいい」という――。

※本稿は、上念司『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

NISAと画面に表示されたスマートフォンを持つ手
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投資をしなければ資産は目減りするだけ

新NISAが始まってから「貯蓄から投資へ」とメディアがやたらと煽っています。しかし、具体的に「投資」といってもなにをすればいいのでしょうか? 多くの人は株を買えと簡単に言いますが、どの株を買ったらいいでしょう? そういった超初心者が疑問に思うことにすべて本稿で答えていきたいと思います。

まず、そもそもなぜ投資をしなければいけないのかという点について解説します。日銀の金融緩和やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰などによってインフレ期待が完全に定着しました。インフレとは、お金の価値が目減りする現象です。

たとえば、年率3%のインフレの場合、100万円の貯金は翌年97万円の価値しか持ちません。つまり、現金やタンス預金、普通預金で保存していてもお金の実質的価値は目減りしてしまうということです。

100万円で買えるものはどんどん少なくなる

実は、インフレというのは一種の税金みたいなものなのです。そして、この税金はリスクを取らない人に集中的にかかるという特徴を持っています。リスクとはなにか? 具体的に言うならそれは「価格変動リスク」のことです。いわゆる元本保証とは正反対。元本が保証されないどころか、刻一刻と増減しますよということ。なんか不安ですよね?

ただ、元本保証という言葉に騙されてはいけません。なぜなら、元本保証とはあくまでも名目の元本の価値を守るということであって、実質的な価値が守られるということではないからです。100万円の現金はたしかに永遠に100万円のままですが、100万円で買えるものはどんどん少なくなっていく。これがインフレなのです。